ダウンロードしたものの、数回使っただけで休眠状態だったり、アンインストールしてしまったりしたアプリがある人も多いはずだ。テレビCMなどでは「数百万ダウンロード突破!」と威勢のいい言葉を聞くが、実際にどんなアプリがどの性年代にどのくらい使われ続けているのか。
本連載では、ダウンロード数だけでは見えない「アプリの利用率」をモニターの利用動向から調べるサービス「App Ape」を提供しているフラーに、四半期ごとに人気アプリの実態について聞いている。
前編に引き続き、同社のオウンドメディア「App Ape Lab」編集長の日影耕造氏に2022年第3四半期(7~9月)のアプリ利用動向について聞いた。
日影耕造氏(以下、日影) 2022年9月には、人気アプリ「zenly」(以下、ゼンリー)がサービス提供を終了するという突然の発表がありました。ゼンリーは位置情報共有アプリで、友人同士などで現在地を把握できるため、10代から絶大な支持があります。
運営元のアメリカ・スナップ社の事業方針の転換で、ゼンリーは整理されてしまうようですね。しかし、App Apeで見ると、ゼンリーは日本国内で過去最高のユーザー数を更新していました。以下が、ゼンリーのユーザー数推移と性年代比です。実数は公開できないのですが、比率や増加具合などがわかると思います。
――ユーザー数は理想的な右肩上がりで、サービスを終了してしまうアプリには見えませんね。もったいなくも思います。
日影 スナップ社が日本市場に魅力を感じていなかったのかもしれませんが、これだけのユーザーを集めることができてもマネタイズが難しかった、という可能性も考えられます。
――ユーザーの性年代比を見ると10代が圧倒的に多く、10代向けアプリの難しさなのかもしれませんね。10代はアプリを使う時間の余裕もあり、活力もある層です。もともと「TikTok」が10代向けアプリといわれていたものの、今やさまざまな世代が使うようになるなど、10代は他世代への影響力も期待できる層ですが、ゼンリーの場合はTikTokと異なり、そもそも「知人の現在地を知る、知られる」という機能を他の世代が使いたい、と思えなかったこともあるのかもしれませんね(※なお、保護者層には子どもの防犯の観点から若干のニーズはあった模様)。
日影 ゼンリーは多くのユーザーがいるため、サポートが大変なのに事業としては割に合わず、次の一手も見えずに「損切り」されてしまったのかもしれません。「オンラインで生きている、ネットで暮らしている」というZ世代の雰囲気や気分を象徴するアプリの一つだと思っていたので、衝撃的なニュースでしたね。今後の動向も含めて注目です。
――話は変わりますが、4月に「TVer」が一部テレビ番組について、放送と同時にインターネット配信を始めるという大きなトピックがありました(在京キー局、ゴールデンタイム・プライムタイムのみ)。それから半年たちますが、今の動画アプリの動向について教えてください。
日影 動画アプリといえばまず「YouTube」ですが、ユーザー数、利用時間ともに他を圧倒しており、YouTubeを入れるとほかの事業者の変化が見えづらくなってしまうため、YouTubeを入れずに以下のアプリを比較したいと思います。
①Amazonプライム・ビデオ
利用料金:月額500円(税込み、以下同)
②Netflix
利用料金:月額990円~/2022年11月より広告付き月額790円のプラン開始を発表