東京ゲームショウ、来場者が半分以下に激減で消滅危機…ゲーム業界の勢力図に異変

「東京ゲームショウ2022」の様子(「gettyimages」より)
「東京ゲームショウ2022」の様子(「gettyimages」より)

 今年9月、日本のコンピュータゲーム業界最大のイベント「東京ゲームショウ」が3年ぶりに幕張メッセの“リアル会場”で開催された。コロナ禍に見舞われた2020年はオンライン開催となり、2021年は小規模なビジネスデイのみで一般公開は中止となっていただけに、従来の大規模会場に豪華なブースというスタイルが復活した今年は、「どれだけ来場者が戻るか」が注目されていた。

 CESA(コンピュータエンターテインメント協会)の発表によると、「東京ゲームショウ2022」の会期4日間の総来場者数は13万8192人。コロナ禍前である2018年の29万8690人、2019年の26万2076人と比べると、大きく数字を落とす結果となった。

 さらに詳しく分析すると、初日、2日目の関係者向けとなるビジネスデイは2018年の6万8312人、19年の6万8442人と比べて、4万4117人と約3割減。残り2日間の一般公開日の来場者も2018年の23万0373人、2019年の19万3634人と比べて、8万7537人と半分以下に激減している。

 若年層の新型コロナワクチン接種状況が不透明なため、安全面を考慮して小学生以下の入場を禁止したり、イベント当日に台風が接近していたり、などの要因もあるが、予想以上に参加者が“戻ってこなかった”ということになる。

ゲーム業界の勢力図に起きた変化とは?

 東京ゲームショウ初期から参加して取材を続けているというゲーム業界アナリストは、この結果について「複数の要因がある」と語る。

「ついにリアル開催、と意気込んでいたわりには、会場に活気がなく、盛り上がりに欠けたという印象です。そもそも今年は新型ハードや大作ソフトが少なく、大きな話題やトピックがなかったということもあります。ゲーム業界そのものが緩やかに縮小しているといわれる中、わざわざ幕張まで出向いてゲーム体験をしようと思うユーザーは少なかったのではないでしょうか」(ゲーム業界アナリスト)

 会場には、カプコン、KONAMI、スクウェア・エニックス、バンダイナムコエンターテイメント、セガ/アトラスなど、国内有力メーカーが大きなコマで出展していたが、ブースの装飾などは抑えめだった。また、一時は勢いがあったスマホゲームのメーカーの出展も少なくなった印象だ。これには、コロナ禍を経てゲーム業界の勢力図に変化があったことも関係しているという。

「巣ごもり需要で、家でじっくりゲームをするという人は増えたのですが、プレイステーション5が品薄で販売機会を逃すなど、その需要がPCゲームに流れた印象はありますね。スマホゲームは有力タイトルが固定化しているのと、通勤通学時にプレイしていたライト層がリモートワーク化で離れてしまったという見方もあります」(同)

 コロナ不況がゲーム業界にも影響を与えた恰好だが、実はすでに東京ゲームショウそのものに陰りが見えていたという意見もある。事実、入場者数、出展社数ともに2018年がピーク。動員が下がった要因は、本格的なオンライン化が進んだことも一因だ。

ゲームショウのようなリアルイベントを準備しなくても、各メーカーが独自にオンラインでさまざまな情報を発信できるようになりました。発表会の模様や新作ゲームの映像はリアルタイムで観れますし、体験版もダウンロードしてプレイすることができる。メーカーもユーザーも、オンラインイベントの方がお金も時間もかからないことに気づいたのではないでしょうか」(同)

 とはいえ、リアルイベントならではの楽しさもある。会場限定で配布されるノベルティグッズ、芸能人を招いてのトークショーやライブなどは、実際にイベントに行かないと楽しめない。