英語で話すのが苦手な原因は「日本語力の低さ」?英語が上達する意外な訓練法

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「gettyimages」より

 学生時代の授業で英語を学んだはずなのに、実際には話すことができない人は多いだろう。単語の意味や文法は理解できるのに、英語で話そうとした途端に固まってしまうのはなぜか。

 英語で話せない理由――それは英語力の低さではなく、実は日本語力の低さにあるのかもしれない。8月、Twitter上で英語の勉強について数多く投稿している「こあたん こあらの学校」(@KoalaEnglish180)の以下ツイートが1万以上の“いいね”を獲得し話題になった。

 

 

<「言いたいことが英語で言えない」の原因は「英語力が低い」だと思ってる人が多いけど、実は「日本語力が低い」が本当の原因であることがマジで多い。言いたいことをきちんと論理立てて整理して、子供でも分かる簡単な日本語に直したら、中学レベルの英語でも大抵どうにかなる。英語よりもまず日本語>

 つまり、日本語=母語への理解度レベルが英語のコミュニケーションにもそのまま反映されるとのことだ。このツイートに対し、

「英語でも論理を上手く表現できない場合、日本語でも論理に対する理解が足りなかった」

「母語の理解がないと、想像以上のハンデを背負うことになるかも」

と母語の理解を深めることの重要性を訴える声が多数みられた。

 そこで今回は、25年以上にわたり言語学や脳科学、心理学を取り入れた英語の上達法を研究してきた英語講師、通称イングリッシュ・ドクターの西澤ロイ氏に取材を実施。8月に著書『英語学習のつまずき50の処方箋』(ディスカヴァー21)を出版するなどメディアでの活動も多い西澤氏に、日本語と英語の違い、日本人がつまづきがちな英会話の場面について詳しく解説してもらった。

英語特有の表現はイメージとして捉えるべき

 今回のツイート主の主張について、「確かに英語が上手く話せないのは日本語力の問題もあるでしょう」と西澤氏は同意するが、多くの日本人は英語をどのように認識しているのか。

「日本語を母語とする人を“日本語”というOSに対応したコンピューターでたとえるとわかりやすいです。この理屈だと、日本語の言葉が耳に入ってきたら、日本語を理解できるものだと受け止めて会話を続けますよね。そして、これが英語になると、英語から日本語に翻訳して理解することになります。

 ただ、このシンプルな変換だけで英語を理解するのは難しいです。英語には、日本語では言い表せないような単語がいくつもありますし、それらすべてを日本語に翻訳することはできません。ですから英語特有の言葉、表現が出てきた場合は、日本語に変換することなく、イメージとしてそのまま理解することを推奨します。多くの日本人は『日本語を英語に翻訳』『英語を英語のまま掴む』という2つの方法を使えば、英語がわかりやすくなると思います」(西澤氏)

 英語と日本語とでは、そもそも言葉を使う感覚も文化も大きく違う。わかりやすい例が「挨拶」だと西澤氏は語る。

「たとえば、日本語の『おはよう』は、元々は『(活動の)時間が早い』ことを指しています。しかし、英語の『Good morning.』は文字通りには『良い朝』です。この言葉は去り際にも使うことができ、元は『Have a good morning.』、つまり『良い朝をお過ごしください』という祈りの言葉だと考えられます。

 また、お店では『いらっしゃいませ』と日本では一方的に声掛けをし、お客さんは特に何もしゃべりません。しかし、英語でよく使われる『May I help you?』は、『お手伝いしてもよろしいですか?』という意味であり、相手への質問になっていますから、お客さんは必ず返事をすることになっているんです」(同)