質の高い接客を提供すべく、同店のスタッフは「耳で音を聞き分ける訓練」をしているという。商品が出てこないときに発生する音が聞こえたら対応に走り、無事にカプセルが出てくる音が聞こえたら「ありがとうございました」の声かけを欠かさない。実際に原宿店内で松井氏がハンドルを空回ししてみると、不調かと思った店員が素早く駆けつけてくれた。
「店員は在庫状況や入荷情報も把握し、お客様からの商品の問い合わせにお答えできるようにしています。当社では独自のPOSシステムを構築し、各店の売れ行きと在庫を一元管理しているのです。基本は商品部によるセンターコントロールにて、データに基づきながら店舗へ週3~4回の商品出荷を行います。さらに、それぞれの店舗スタッフが携帯端末を使用した追加要求や端数商品を返品できる仕組みを使いながら、在庫コントロールを行っています」(同)
地域によって売れ筋商品は変わるもの。再入荷・在庫処分が難しいカプセルトイだが、グループ全体でデータに基づいた商品管理ができるため、過不足のない商品供給を叶えられている。
これまでのカプセルトイ販売は、道端で偶然マシンを見つけた子どもが衝動的に親にねだって回させてもらう、いわば“涙の売り上げ”が中心だった。しかし、専門店では最初から「ガチャガチャを回して遊びたい」と思う人のみが入店するようになったという。松井氏は「カプセルトイ専門店は“笑顔の売り上げ”を生み出す場所になったのです」と、微笑みながら語ってくれた。