22年度、業績上方修正の業種予想…石油・石炭、電気・ガスは大幅増収

 なお、6月短観の収益計画では、企業の想定為替レートも公表されることから、業種別の想定為替レートも今後の業績見通しの修正の可能性を読み解く手がかりとして注目したい。資料5にて実際に今年度の想定為替レートを確認すると、大企業製造業における事業計画の前提となる想定為替レートはドル円で116.6円/ドル、ユーロ円で130.1円/ユーロとなっている。しかし、足元のドル円レートは130円台を大きく突破している。中でも、製造業で足元のドル円レートよりも特に円高で今期の為替レートを想定しているのが「宿泊・飲食サービス」の113.0円/ドル、「情報サービス」の114.9円/ドルとなっている。

 なお、輸入依存度の高い内需関連産業は円安でむしろ業績の下押し要因となる企業も含まれており注意が必要だが、特に輸出関連の製造業が116円/ドル台と円高気味の想定をしていることに注目すべきだろう。

 以上の結果を踏まえれば、今後はコロナの感染状況やロシアのウクライナ侵攻の動向、更には米国の景気後退懸念などに伴うリスクオフを通じて、各国中銀がこれまでよりも金融引き締めに後ろ向きな姿勢を示す等して為替レートの水準が円高方向に進まなければ、こうした今期の為替レートを円高方向に想定している業種に属する企業を中心に今期業績が修正される可能性があることにも注目すべきだろう。

(文=永濱利廣/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト)

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