――消費者ニーズの多様性や業種を問わず、いろいろなサービスが世に出てきて、保険会社は商品だけを発売すればいいという時代から変革する時期に来ているように思います。貴社はどのようにお考えですか。
かんぽ 近年、消費者動向等が大きく変化しており、多様化するお客さまのニーズに的確に応えていくには、既存のサービスだけでは困難な状況がございます。当社は、中期経営計画に「お客さまの生活によりそうサービスの提供」を掲げており、サービスの提供を通じて、当社のお客さまを含めた社会が直面している社会課題の解決を目指していきます。お客さまに当社をより身近に感じていただき、さらなる信頼を構築できれば、企業価値は向上し、会社全体の収益の改善にもつながると考えています。
社会課題は、さまざまなものがございますが、まずは、終活や相続に関するサービスの検討を進めております。コンサルタントの知識習得や資格(社内認定資格の活用など)の取得に向けた研修、ツール等の準備を実施するとともに、終活・相続に関するより深い内容のご相談を受けられる専門チームを社内に整備し、自社で対応する幅を広げることで、多くのお客さまにご利用いただける体制とします。
かんぽ生命の再生を「穴が空いた泥船の出航」とたとえた人もいます。その穴を埋めながら、かんぽ生命は世間という荒れ狂う海に乗り出しました。信頼回復のために経営陣以下全社員が一丸となれるかどうか、その本気度にかかっていることは間違いありません。全国津々浦々にいらっしゃるお客さまのためにも、“どん底からの生還”を願うばかりです。
(文=鬼塚眞子/一般社団法人日本保険ジャーナリスト協会代表、一般社団法人介護相続コンシェルジュ協会代表)