不適切販売から3年…かんぽ生命、営業ノルマ主義脱却、画期的な新医療特約が話題

かんぽ 21年度にスタートした中期経営計画では、かんぽ商品の不適正募集問題を踏まえた反省や、新型コロナウイルス感染症の感染拡大などの大きな社会的環境の変化を十分に踏まえ、これまでの事業戦略とはまったく異なり、新しく、そして抜本的な変革を盛り込んだ計画としています。2019年6月以降の募集品質にかかわる諸問題によって、お客さまへの営業活動を2年近く行うことができない状況が続いたことから、まずは生命保険会社としての本来あるべき姿、すなわち「質を伴った営業をしっかりと実施できる状況」に「再生」していくことが何よりも重要であると考えています。

今年4月からは、日本郵便のコンサルタントが当社に兼務出向し、かんぽの社員として活動する新しいかんぽ営業体制が始動しました。この新体制では、すべてのお客さまへのコンタクトの質、量、頻度を高めることにより、お客さまとの真の信頼関係を構築しながらお客さまの数を拡大し、かんぽ生命として再生していきたいと思います。

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――お客さまがお知りになりたいのは、契約時に不利益を被らないためのチェック体制が改善されたかどうかです。

かんぽ お申込みから契約締結までの重層的なチェックを実施しております。外形上、募集品質に懸念のある申込みについては、「募集事前チェック機能」による確認を実施するとともに、募集人の管理者及びかんぽの専用コールセンターによるお客さまへのご意向確認、更には引受審査時のかんぽのサービスセンターによるご意向確認を行うことで、適正な募集管理体制の確立に努めています。

――質の高いコンサルタントを育成しなければ、再生は絵に描いた餅で終ってしまいませんか。

かんぽ 多様化するお客さまの保険ニーズにお応えするには、高いレベルの専門性やノウハウが求められます。そこで、日本郵便のコンサルタントには、「保障を提案できる能力」をさらに向上していただく目的で、当社に出向していただくこととしました。当社は、コンサルタントを全面的にサポートする体制をつくり、コンサルタントには「保障を提案できる能力」をさらに高めていただきたいと思います。

 たとえばアポイントの取得方法やヒアリングの仕方等、課題は社員によって異なります。企業価値を向上するためには、マネジメントの成長を土台として、人材の成長とマーケットの成長を図っていく必要があると考えておりますので、社員の活動をしっかり見て、課題を共有し、一緒に課題解決を図ってまいります。

数字だけを追い求める営業に決して戻らない

――不祥事の背景には、ノルマも問題になりました。ただ、保険業界全体として数字の大きい人が評価されていることは否めません。貴社はそこに風穴を開けたそうですが。

かんぽ 2022年度は新契約と契約継続の両面を評価する保有契約の純増を観点とした目標を新たに導入するとともに、アフターフォローや募集品質などの活動を評価する目標を設定いたしました。以前のように数字だけを追い求める営業に決して戻らないという決意のもと、結果だけではなく、結果に至るまでのプロセスも重視したマネジメントを推進してまいります。

――バッシングはいまだにある一方で「業界を先行する」と注目されているのが、完結型ビジネスモデルです。どんなものなのでしょうか。

かんぽ 郵便局等における新規契約の申込みや保全・保険金請求等の各種手続きにおけるデジタル化、ペーパーレス化等を進め、そうした手続き時にカスタマーサービスセンターの専門スタッフがオンラインで同席し、お客さまからのご質問に答えることなどにより、その場で完結する簡便な手続きの実現を目指しています。これらの徹底したデジタル化や手続きのその場完結化の促進は、バックオフィス事務の効率化にもつながると考えています。