ペンキ絵、番台…90年前の銭湯をリノベしたカフェ「レボン快哉湯」が昭和の世界

銭湯をリノベーションしたカフェ「レボン快哉湯」
銭湯をリノベーションしたカフェ「レボン快哉湯」

 一言で「カフェ」といっても、その種類はさまざま。ブックカフェにアニマルカフェ、アニメなどとのコラボカフェなど、バラエティに富んだコンセプトのカフェがあります。そんな中で、カフェ業界の市民権を得たといっても過言ではないのがリノベーションカフェ、通称リノベカフェ。古い民家や倉庫をリノベーションした個性的なカフェのことで、「非日常を感じられる」「落ち着く」と人気です。

 そんなリノベカフェの中でも最近注目を浴びているのが、1928年(昭和3年)創業の銭湯をリノベーションしたカフェ「レボン快哉湯(かいさいゆ)」です。

圧巻のペンキ絵、貴重な番台体験も可能

 東京・台東区下谷にあるレボン快哉湯はもともと、大戦の戦火を逃れ、昭和、平成を見守ってきた「快哉湯」という銭湯でした。2016年、老朽化のために閉店となりましたが、建物再生事業などを行う㈱ヤマムラと、LANDABOUT TOKYOなどのホテルを手がける㈱ベステイトがタッグを組んで、カフェへと生まれ変わりました。

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 ちなみに、浴場スペースは㈱ヤマムラのオフィスになっており、見学無料。西伊豆から富士山を眺めるペンキ絵は圧巻です。

 レボン快哉湯のマネージャーを務める押川麻湖さんは「ヤマムラさんが浴場スペースをオフィスとして使われていたところに、不動産活用をしている当社がつながって、脱衣所スペースの運営を任されました」と言います。

 古くから愛されてきた快哉湯を再び人々が集まる場所にするため、老若男女問わず足を運びやすいカフェにすることに。2020年7月にオープンしました。

「建物や設備は老朽化していたのですが、まだまだ使える部分もたくさん残っていたので、リノベーションするときは『使えるものはそのまま使う』ことにこだわったそうです」と押川さん。

 その言葉通り、店内には快哉湯時代の面影を伝える場所がたくさん残っています。

 まずは、入り口でバツグンの存在感を放つロッカーです。

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 扉が小さくて奥行きがあり、一目見ただけでは何に使うのかわかりません。

「右手側は靴用で、左側は傘用になります。昭和の特に初期の頃は傘が貴重品だったそうで、銭湯では盗難防止のために専用のロッカーを置くところが多かったそうです」(押川さん)

 脱衣所スペースに入って、すぐ左に現れる番台にも歴史を感じます。

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「銭湯のシンボルともいえる番台は、当店人気の撮影スポットです。実際に番台に上ることもできるので、そういった意味でも人気ですね。意外と高いので、上り下りには注意が必要です」(同)

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 視線を上げると目に入るのが、年季の入った大きな古時計。

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「昭和の銭湯には、名前を入れた大きな時計を置くのが一般的だったそうです。でも、古すぎて修理できる時計屋さんがいないので、今ではもう止まっています。他にも、窓にはめているすりガラスも、今では手に入りません。とにかく古くて珍しいものが多いので、お客さんの中には、古い建物が好きな方や建築を勉強している学生さんなどもいらっしゃいます」(同)

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 さらに、店内で販売しているドリップバッグのオシャレなパッケージは、タイルの柄と同じデザイン。遊び心も満載です。

「お風呂の後はアイス」で生まれた定番メニュー

 レボン快哉湯の定番メニューは、自家製アイスクリームと自家焙煎コーヒーのセットです。

「お店の定番メニューを考えるときに、『お風呂の後はアイスが食べたくなるよね』という話になりました。そして、アフォガードみたいにすれば、アイスだけ、コーヒーだけ、その2つを合わせた3つの楽しみ方ができるということで、アイスクリームとコーヒーを合わせた『マリアージュプレート』が生まれました」(同)