総務省が4月に公表した、携帯電話の販売代理店の顧客対応に関する覆面調査の結果が話題を呼んでいる。NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルの代理店が端末だけの販売ができないと虚偽の説明をしたり、回線契約を条件とする2万円の上限を超える利益提供を提示したりするなど、不当な営業行為をしていたことが明らかになったためだ。回線契約数に応じて携帯キャリアから手数料が支払われるといった販売代理店業界特有の構造が、消費者に不信感を抱かせる要因となっている。
総務省の調査では、調査件数531件のうち、違反が40件、違反の疑われる事例が12件見つかったという。大手キャリア別の違反の割合は、ドコモが4.8%、KDDIが10.2%、ソフトバンクが12%、楽天モバイルが23.3%となった。ドコモ、KDDI、ソフトバンクの調査件数がそれぞれ167件で楽天モバイルの30件の約6倍とはいえ、割合としては楽天モバイルが違反・違反疑いの割合がもっとも多い結果となった。問題となった販売店の説明例の一部を示す。
【楽天モバイル】
・SIMと一緒に契約していただかないと端末の購入ができない。端末自体の購入は不可。端末購入プログラムも契約がないと不可。
→非回線契約者への端末販売拒否
・ポイントバックは回線契約を伴わないと適用できない。iPhone SEについて、回線契約がないと色々なキャンペーンが適用できない。回線契約をした場合、本体価格4万4800円のところ、iPhone SEのキャンペーンで4万4799ポイント、また楽天モバイルを初めて契約で5000ポイント、併せて4万9799ポイントになる。
→回線契約を条件とする2万円の上限を超える利益提供の提示
【NTTドコモ】
・(在庫があることを確認したiPhone SEについて)乗り換え用で予約されている端末だった。取り置きの方より先に来られたので、乗り換えであればお譲りできるが、それ以外の人にはお譲りできない。
→非回線契約者への端末販売拒否
・iPhone13 miniについて、乗り換えであれば2万2000円の割引に加え、頭金1万4300円を免除させていただく。上の者と今相談し、ここまではできるという話になった。
→回線契約を条件とする2万円の上限を超える利益提供の提示
【ソフトバンク】
・乗り換えとかなら受付ができるが、端末だけだと、それ専用の端末の納期が未定となってしまっていて、いつ入って来るかわからない状態になってしまっている。今ある端末はソフトバンクから出ている機種になってしまうので、端末だけの購入ができない。
→非回線契約者への端末販売拒否
・iPhone SEの場合、回線がない状態で単体のみ購入になる場合だと、すべてのキャンペーンが外れてしまうので、5万7600円の定価での購入になる。回線込みで買った場合、乗り換えで番号をソフトバンクに持ってくると1円で購入できる。
→回線契約を条件とする2万円の上限を超える利益提供の提示
【KDDI(au)】
・端末だけの販売は基本的にはしていない。au又はUQへの乗り換えだったら端末を販売している。今から案内するiPhoneのキャンペーンはauがやっているものであり、割引額は下がるがUQでも適用される。ただ、端末だけという話なのであれば他の契約してくれるお客様にお渡ししている。
→非回線契約者への端末販売拒否
・iPhone SEについて、2、3月は繁忙期なので、auに一度乗り換えてもらえれば9800円でお渡しできる。乗り換えではないと、単純に「5万5000円の代金をお支払いくださいね」という話になる。機種だけだとキャンペーンは適用されない。