マイクロソフト、ゲーム会社「8兆円」買収の隠れた狙い…メタバース時代の覇者へ

 そしてこのメタバース競争の競争力の鍵は、実はオンラインゲーム会社がすべて持っているというのが、今回のマイクロソフトの戦略の要点になるわけです。

 新たに顧客を獲得することなく、現時点で月間4億人のユーザーがゲームというメタバースに没頭している。その既存ユーザーを維持し、さらにメタバースにのめり込ませることができるノウハウを持つ1万人のゲーム会社従業員も買収で同時に獲得できる。それをビジネスとプライベート双方のメタバース拡大にリソースとして投入できる。これがマイクロソフトが狙った買収の正体です。

 冒頭のようなビル・ゲイツの陰謀論というのは荒唐無稽な話です。しかしビル・ゲイツと仲間たちはわれわれ日本人がコロナ禍に四苦八苦しているうちに、着々とおいしいところをリアルに押さえ始めているのかもしれないのです。信じるか信じないかは読者のあなた次第ではありますが。

(文=鈴木貴博/百年コンサルティング代表取締役)

●鈴木貴博(すずき・たかひろ)

事業戦略コンサルタント。百年コンサルティング代表取締役。1986年、ボストンコンサルティンググループ入社。持ち前の分析力と洞察力を武器に、企業間の複雑な競争原理を解明する専門家として13年にわたり活躍。伝説のコンサルタントと呼ばれる。ネットイヤーグループ(東証マザーズ上場)の起業に参画後、03年に独立し、百年コンサルティングを創業。以来、最も創造的でかつ「がつん!」とインパクトのある事業戦略作りができるアドバイザーとして大企業からの注文が途絶えたことがない。主な著書に『ぼくらの戦略思考研究部』(朝日新聞出版)、『戦略思考トレーニング 経済クイズ王』(日本経済新聞出版社)、『仕事消滅』(講談社)などがある。