確定申告シーズンです。「医療費控除」の申告をするために、2021年1月から12月までの領収書などを、焦りながら確認している人もいるのでは?
医療費控除の申告のために準備をする際に、よく誤解しがちなことがたくさんあります。今回は、その5つをお届けします。
昨年も引き続き感染予防のため、マスクやアルコール消毒グッズなどを買った人が多いでしょう。「これはある意味、医療にもつながるので、医療費控除の対象になるのでは?」と思う人もいますが、残念ながらNGです。
なぜなら、医療費控除の対象は、あくまでも「治療」のための費用だから。マスクやアルコール消毒などは「予防」のためなので、該当しないというわけです。
そのため、うがい液やリラクゼーションのためのマッサージの費用も対象外となります。
新型コロナウイルスのワクチン接種は無料ですが、インフルエンザのワクチンなどを自費で接種した方もいるでしょう。また、定期的にビタミン剤などのサプリメントを飲んでいる方もいると思います。
ワクチンやサプリメントは「健康のため」という印象があるので、「医療費控除の対象になるのでは」と聞かれることがありますが……こちらもNG。先ほどの1番と同様、「治療」ではなく、「予防」のためだからです。
次は、結果によってOKかNGかが異なるもの。PCR検査や人間ドックの費用についてです。
まず、自費でPCR検査を受けた場合ですが、陽性となり、治療につながった場合は対象となります。国税庁のサイトでも「新型コロナウイルス感染症にかかっている疑いのある人に対し行うPCR検査費用」は医療費控除の対象になる、とあります。
ですが、「感染していないことを明らかにするため」「熱っぽくて、なんとなく不安で」といった理由で、自費で受けて陰性となった場合は医療費控除の対象外となります。
人間ドックでも同様で、何か問題が見つかって、次の治療につながった場合は、最初の人間ドックにかかった費用は治療の一環となるわけですのでOKですが、特に問題がなかった場合は対象外となります。
やはり、ここでも「治療はOK、予防はNG」という目安がわかりやすいですね。
医療費控除の対象となる費用は、「生計を一緒にしている家族分」も合算できます。その際に、「同居をしていない家族分はNG」や「共働きの夫婦の相手分はNG」だと誤解している人に時々出会います。
生計が一緒であれば、単身赴任中のパパ(またはママ)や一人暮らしをしていて実家から仕送り中のお子さん、共働き夫婦の相手の医療費も、まとめてOKです。また、同居している義理の父母の医療費も、生計が一緒であればまとめることができます。
誰の医療費を合算できるかを知っておけば、みんなの領収書を集めて合算するのがスムーズですので、確認しておきたいですね。
確定申告シーズンは、基本的には毎年2月16日~3月15日です。
「どんなことがあっても、この期間に行わなくては」と思っている人も多いのですが、「還付申告」といって、申告することで払いすぎた税金が戻ってくる場合は、このシーズンは関係なく、2月16日より前でも、3月15日を過ぎても大丈夫。実際には、5年間の猶予期間があります。
たとえば、会社員で、確定申告の際に医療費控除のみの申告であれば、基本的には税金が戻ってくるはずですので、5年間猶予があります。「今年の3月15日までに間に合わなかったらどうしよう」などと慌てる必要はありません。