「マツコに『トヨタはEVをどうするの?』と聞かれた豊田氏は、『やらなきゃ仕方ないと思っている』と答え、マツコが『だったら、ドーンと派手にやりなさいよ。派手にやらなきゃやる意味がない』と応じたという話がある。会社のオフィスで会っている様子はない。豊田氏の長男の大輔氏が社長をしているウーブン・アルファが手掛けるウーブン・シティへマツコも行っているらしいから、そこで会ったのかもしれない」(トヨタの関係者)
ウーブン・シティはトヨタが東富士の裾野で進めている未来型の実験都市である。
「父の豊田章一郎・元社長の助言も(今では)ほとんど聴かない」(トヨタの元役員)といわれる豊田氏だけに、昨年末に自動車業界の首脳の間をこの噂が駆けめぐった。
EV転進を好感して、トヨタの時価総額が初めて一時40兆円を上回った。それでも、米EV大手テスラ(同120兆円)の3分の1だ。脱炭素の加速は止まらず、デジタル技術の進化は、あらゆるモノがネットとつながるIoTのほか、仮想空間のメタバース、ブロックチェーンなどを次々と生み出した。欧州では35年からガソリン車の新車の販売が禁止となり、電池のリサイクルが義務化される。環境対応を超えた地平での、つまり自国の自動車産業の保護の思惑が絡んでいるだけにやっかいだ。
米国ではゼネラル・モーターズやフォード・モーターがバイデン政権と歩調を合わせ、EVやリチウムイオン電池への大型投資を相次いで表明した。米中間選挙や次の大統領選の帰趨に注意を払う必要はあるが、米国でもEVの激流は止まらない。中国では21年のEV新車販売台数は20年比2.6倍の291万台に上り、EVのグローバル生産の6割を中国が占めた。
中国市場を見据えれば、日本メーカーもEV化を加速させるしか道はない。欧米勢が先行し、トヨタ自動車が懸命に巻き返し、三菱自動車工業・日産自動車連合は補助金を入れれば200万円を切る軽EVの新しいモデルを共同開発し、トヨタ傘下のダイハツ工業も25年には実質100万円台の軽EVを投入するなど日本勢が追いかける。国内の新車販売の4割は軽自動車だから、日本では軽EVの覇者になることが、かなり重要となる。
(文=Business Journal編集部)
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