18年6月、森田仁基氏から木村弘毅氏に社長が交代した。森田氏は在任中の15年3月、チケット売買仲介サービスの「チケットキャンプ」を運営するフンザを買収した。17年12月、フンザが商標法違反および不正競争防止法の容疑で捜査当局の捜査を受け、書類送検され、森田氏は引責辞任した。
モンスト事業を手掛ける木村氏が森田氏の後任の社長に選任された。木村氏は18年、mixi、スマホゲームモンストに続く次の成長の柱を打ち立てるべく、「今後3~5年間で1000億円を投資する」と宣言した。
19年からスポーツ関連事業に注力している。19年4月、男子バスケットボールBリーグ「千葉ジェッツ」の運営会社、千葉ジェッツふなばし(千葉県船橋市)の発行済み株式の過半を取得し子会社にした。千葉ジェッツは1万人収容のアリーナを建設する。今年6月、千葉ジェッツはBリーグで初優勝した。
19年には競馬総合サイト、ネットドリーマーズを買収した。21年3月、スポーツ観戦ができる英国風パブを運営するハブ(東証1部上場)を、15億5000万円を投じて持分適用会社にした。店内でスポーツ番組を配信しているハブはミクシィの顧客基盤を生かし、集客力を高める。
Jリーグ1部(JI)のFC東京を運営する東京フットボールクラブ(東京都調布市)を子会社にする。第三者割当増資で東京フットボールクラブの新株を11億5000万円で引き受け、22年2月、議決権ベースの保有株比率を現状の4.2%から51.3%に引き上げる。
FC東京の前身は東京ガスの実業団チームで、1999年、Jリーグに参入した。J2で優勝し、天皇杯を手にしたこともある。アジア・チャンピオンズリーグ(ALC)にも3回出場した。
しかし、新型コロナウイル禍による入場制限によって入場料収入が大きく減り、21年1月期の売上高は45億円、最終損益段階で3億円の赤字に転落した。スポーツ事業がモンストに代わる主力事業となる保証はない。M&Aが重なり、スポーツ事業の売上高は21年3月期に126億円と全社の1割を占める規模になったが、事業損益は53億円の赤字。21年4~9月期も売上80億円で21億円の赤字だ。まだ育成途上の段階だ。
9月、国内大手の暗号資産取引所を運営するビットバンク(東京都品川区)と資本・業務提携した。ビットバンクの第三者割当増資を引き受け約70億円出資し、26.2%を保有する第2位の株主となった。ビットバンクを持分法適用会社に組み入れた。ビットバンクが持つ暗号資産技術とミクシィのスマホゲームなどを組み合わせ、新規事業を立ち上げる。
スポーツ以外にも投資を活発化させ、新規事業に進出しているが、いずれも収益を上げるところまでには育っていない。果実を得るのはこれからだ。
(文=編集部)