日本、地震の活発期に入った可能性…首都直下地震の震源地、伊豆諸島周辺も有力か

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「gettyimages」より

 10月7日午後10時41分頃、東京都足立区、埼玉県川口市と宮代町で震度5強を観測する地震が発生した。震源地は千葉県北西部で、震源の深さは約80キロメートル、地震の規模はマグニチュード(M)5.9だった。

  東京23区内で震度5強を記録したのは、東日本大震災が発生した2011年3月11日以来、約10年半ぶりだ。この地震で5都県で重傷3人を含む32人のけが人が確認された。舎人ライナーが脱線する事故も発生した。震源地である千葉県北西部では2005年7月にもM6.0の地震(震源の深さは約73キロメートル)が発生し、当時も足立区で震度5強を記録した。

 今回の地震は、日本の南に広がるフィリピン海プレートと、東側から日本列島の下に潜り込んでいる太平洋プレートの境目で起きたとされている。地理的には「首都直下地震」に該当するが、政府が想定する震源が浅い首都直下地震とは異なっている。今後1週間程度は余震に注意する必要があるという。

 大方の地震学者が信奉している「プレートテクトニクス説」に疑問を抱いている筆者が参考にしているのは、角田史雄埼玉大学名誉教授が提唱する「熱移送説」だ。熱移送説についてはこれまで何度も紹介しているが、改めて説明すると、以下の通りである。

(1)熱移送説で主役を務めるのは、「プレートの移動」ではなく「熱エネルギーの伝達」である。その大本のエネルギーは、地球の地殻から高温の熱の通り道に沿って地球の表層に運ばれ、各地で火山や地震を引き起こす。

(2)熱エネルギーの表層での出口の一つは南太平洋(ニュージーランドからソロモン諸島にかけての海域)に存在し、PJ(インドネシアからフィリピンに向かい台湾を経由して九州へ)とMJ(フィリピンから伊豆諸島を経由して首都圏へ)という2つのエリア内で地震が発生する。

(3)熱エネルギーが伝わると熱のたまり場では噴火が起き、地盤が脆弱な地点で地震が発生する。火山の噴火から地震発生の予兆を捉えることが原理的に可能である。

西ノ島の動向に注目

 今回の地震について角田氏は「噴火活動が活発である西ノ島の動向に注目すべきである」と指摘する。

 西ノ島は、東京の南方約930キロメートルにある火山島である。MJのエリア内に位置することから、西ノ島の火山活動から首都圏に到達する熱エネルギーの強さが判断できるというわけだ。西ノ島は2013年の大噴火で面積が2倍以上になり話題となったが、その後も2015年、2017年から今年にかけて断続的な噴火を繰り返している。首都圏に到達する熱エネルギーにより、千葉県東方沖や茨城県などで比較的大きな地震が多発していた。

 今回の地震は、千葉県東方沖ではなく、千葉県内陸部で起きたことから、表層の地盤が弱いとされる関東平野全体を大きく揺らせたようだ。政府の地震調査委員会は2014年に「首都直下地震は今後30年間に70%の確率で起きる」との見解を示しているが、想定される震源地は明らかにしていない。

 筆者は伊豆半島周辺が有力な震源地になるのではないかと考えている。あまり知られていないが、伊豆半島周辺は地震の多発地帯だからだ。2014年5月に伊豆大島近海でM6.2(最大震度5弱)、2006年4月に伊豆半島東方沖でM5.8(最大震度5弱)と比較的大きな地震が起きている。1978年には伊豆半島近海地震(M7.0、最大震度5)により、大きな被害が生じている(死者・行方不明者26人)。1923年の関東大震災(M7.9)の震源地も伊豆半島周辺であるとの説が有力だ。被害の大半が東京の大火災で生じたことから見逃されがちだが、「地震発生直後に横浜や鎌倉に津波が押し寄せてきた」とする記録が残っている。