体の「疲れ」とは何か?なぜビタミン剤・クエン酸・プロテインは疲れに効くのか?

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「Getty Images」より

 みなさん、疲れていますか?

 日本疲労学会によると「疲労とは過度の肉体的および精神的活動、または疾病によって生じた独特の不快感と休養の願望を伴う身体の活動能力の減退状態である」と定義されています。日々の仕事や暮らしのなかで「疲れた」「寝たい」と思うことは何度もあることでしょう。日常生活が送れないほどの疲れについては「慢性疲労症候群」という病名がついて、治療が行われています。今回は病名がついていない一般的な疲れについて考えていきます。

肉体的疲れはエネルギーの流れを考える

ビタミン剤」「クエン酸」「プロテイン」など数々の商品が発売されています。私たちは何を飲んだらいいのか、わからなくなります。だからこそ、どうやってエネルギーがつくられるのかという流れを考えておく必要があります。

 まず、エネルギーの源が三大栄養素である「炭水化物」「脂質」「タンパク質」です。ヒトはこれらを食べて消化吸収して、体内に取り込みます。炭水化物はブドウ糖、脂質は脂肪酸とグリセリン、タンパク質はアミノ酸というかたちで吸収されます。

 これらは安定した物質ですので、一度エネルギーを使用してこれらを壊します。人間の体内には蓄電池のようなものがあり、そこにエネルギーを充電し、必要なときに使用しています。この壊す作業ですが、ブドウ糖とグリセリンは「解糖系」、脂肪酸は「β酸化」、アミノ酸は「脱窒素化」といいます。解糖系ではビタミンB1、β酸化ではビタミンB2、脱窒素化ではビタミンB6が必要となり、ビタミンがないとこれらの反応は進みません。

 その後、「TCAサイクル」と呼ばれる経路のどこかに入ります。クエン酸やリンゴ酸といった有機酸に形を変えながら、ぐるぐる回っています。この回る過程で水素を取り出し、二酸化炭素を排泄します。これを体内で安全に行うということです。肉体疲労にクエン酸が効くといわれているのは、壊す作業を経ない分、余計なエネルギーを使わずに次に進めるからです。

 取り出した水素は、膜内に閉じ込めます。たくさん水素を閉じ込めたのち、膜外へ吐き出します。この吐き出す過程でエネルギーが発生します。吐き出した水素は酸素と結びつき、安全にかつスムーズにするために酵素の力を使います。この酵素は「コエンザイムQ10」からつくられます。このコエンザイムQ10がないとこの過程が進まないため、エネルギーが発生します。

 この最後の過程で大量の活性酸素が発生し、これが細胞を破壊します。抗酸化物質がこれらを除去します。コエンザイムQ10は年齢とともに合成能力が落ちるため、サプリメントで補充する必要があります。つまり、ビタミンだけでもクエン酸だけでもプロテインだけでもダメで、すべてバランスよく揃っている必要があります。

精神的疲労のポイントは活性酸素

 ストレスがかかると自律神経が乱れて交感神経が有意になります。交感神経とは「闘争」と「逃走」の神経で、緊急時の安全を守るために発動します。それが直接の敵に襲われなくても発動してしまうと、心臓の拍動数を上げ、血管を細くし、呼吸は浅く速くなります。この状態はあくまでも緊急時のもので、持続することはありません。

 解除されると細くなった血管は一気に太くなり、血液を大量に押し出す「血液再灌流」が生じると、活性酸素が大量に発生します。この活性酸素が血管内皮や神経などの周辺組織を傷つけ、傷ついた神経の信号が脳へ伝わり「疲れた」と感じるようになります。

 日頃から抗酸化物質を積極的に摂取しておくことで、このダメージから組織を守ることができます。抗酸化物質はビタミンC、ビタミンE、ポリフェノール、コエンザイムQ10などがあります。色のついた野菜はポリフェノールが多いので、積極的に食べたいものです。食事から摂るのが難しいときは、サプリメントを使ってでも摂るようにします。