今、FIREがブームとなっています。“Financial Independence, Retire Early”の略で、経済的な独立を果たし、早期リタイアを目指すチャレンジのことです。
私も今年の1月に、『「やりがい」より「高収入」を選ぶのが正解…早期リタイアを実現する「貯蓄増大」戦略』というコラムを寄稿したのですが、タイトルにFIREと使っていなかったように、当時はまだ「FIREって何?」という雰囲気のほうが強かったと思います。
半年ほど経って状況は一気に変わりました。マネー系の情報媒体をチェックしていると、FIREという文字を目にする機会がぐっと増えました。編集者と話をしてみると、タイトルにFIREとつけるとアクセス数が段違いだそうです。
FIREは、40~50歳代の中高齢者のテーマではなく、むしろ20~30歳代の若い世代のためのお金のテーマです。そこで今回は「本気で40歳代で仕事を辞めたい人のためのFIREの方法」をまとめてみたいと思います。
あなたが人より早くリタイアしたいとすれば、人より多く稼ぐ気合いが欠かせません。普通に働く人の生涯賃金を、普通の人より短い年数で稼ぐわけですから当然のことです。特に、20歳代後半と30歳代前半でのキャリアアップが欠かせません。まず20歳代前半は自分の伸び代を見極め、稼ぐ能力を高めることに集中します。悩むなら、仕事に使える資格をとにかく取得しておくといいでしょう。資格給がゲットできたり、転職活動時の能力証明になることがあります。
今の会社で年収増が早期に実現するのかも冷静に判断します。20歳代後半以降は、年収増を実現するためには転職もためらわないくらいのスピード感でキャリア形成をしていきましょう。
とはいっても、毎年転職を繰り返し、年収は大して増えず、むしろ長続きしないタイプの人材と見なされるリスクもあるので、転職のタイミングを見計らうセンスも求められます。
次のテーマは節約です。社会人最初の数年間で毎月の家計のやりくりができるようになったら、FIREチャレンジャーは年収増の実現とあわせて、徹底的な節約体制を整えていく必要があります。
基本的には「大卒初任給以上の収入増は貯蓄」とするくらいの覚悟が40代FIREチャレンジには必要です。「年収増=生活水準アップ=支出増」を繰り返してしまうと、どんなに年収が増えてもお金が貯まりません。40歳代でリタイアしたいなら貯蓄ペースを上げ続ける意識で取り組みます。
できるだけ生活にかかるコストは抑え、ボーナスも基本的には半分以上を貯めます。これでハイペースの資産形成になります。年100万円を超えて、年200万円以上たまり始めると、40歳代で相当の資産に育つでしょう。
ただし、これを徹底すると、ワンルームマンションでほとんどモノは持たない生活を志向することになります。ミニマリストのライフスタイルが参考になるかもしれません。自分が苦しいと思うなら、「年収3~4割増=(貯蓄2~3割増+生活水準1割増)」くらいで生活の充実にお金を回してもかまいません。
FIREというと投資テクニックばかりが注目されがちですが、あなたが本気でビジネススキルを磨き、節約を真剣に取り組んでいるのであれば、運用に高いリターンを求めすぎないほうがいいでしょう。例えば年10%以上というのは、かなりリスクを取っている状態です(2020年度のように相場全体が大きく上昇することもありますが)。