ダウンロードしたものの、数回使っただけで休眠状態だったり、アンインストールしてしまったりしたアプリがある人も多いはずだ。テレビCMなどでは「数百万ダウンロード突破!」と威勢のいい言葉を聞くが、実際にどんなアプリがどの性年代にどのくらい使われ続けているのか。
本連載では、ダウンロード数だけでは見えない「アプリの利用率」をモニターの利用動向から調べるサービス「App Ape」を提供しているフラーに、四半期ごとに人気アプリの実態について聞いている。
前編に続き、同社のオウンドメディア「App Ape Lab」編集長の日影耕造氏に、2021年第2四半期(4~6月)のアプリ利用動向について聞いた。
――21年4~6月期は、ゲームについてはいかがだったでしょうか。
日影耕造氏(以下、日影) 以前お伝えした「ウマ娘 プリティーダービー」(以下、ウマ娘)が、依然好調です。4~6月もゲームのMAU(Monthly Active User:App Ape上の定義では月に一度でもアプリを立ち上げたユーザー)ランキングで4位に入っていますが、着目は継続率です。リテンション(顧客維持)はアプリ事業者が頭を悩ませるポイントですが、ウマ娘は7日後もアンインストールをしないで使っている人が30%台と、継続率がツイッターやインスタグラム並みに高いんです。
――ツイッター、インスタグラムレベルの「神アプリ」ですら継続率が30%台ということは、7日以内にアンインストールする人が半数以上いる、というのが驚きです!
日影 アプリで7日後の継続率が30%台というのは、「かなりいい方」ですよ。一般的なアプリでは20%がいいところです。つまり、8割近くの人が1週間もちません。よくゲームのアプリでは、7日後のログインボーナスがリッチだったりしますよね。これも、継続率を上げたいからなんです。
――私のスマートフォンはハイスペックでなく容量も乏しいため、新規にアプリを入れたいなら、何か既存のアプリを削除しないといけない自転車操業状態が続いています。以前はSDカードにアプリを移動できたのですが、Androidの仕様変更で、それができなくなってしまったんですよね。私のように「何か入れ、何か削除して」のやりくりをしている人もけっこういるのではないかと思います。
――ウマ娘と言えば、実在の馬がモデルになっているからと、運営側が「娘」たちのR-18の二次創作を実質禁止していますね。「R-18」という大きな起爆剤を禁じられたので、あまり伸びないのかなと思っていました。
日影 R-18については規制していますが、ウマ娘は二次創作を応援している部分もあります。ゲームで使われているロゴが「TikTok」でステッカーとして提供されているんです。ウマ娘は競馬と同じ「走る」ゲームなので、真似しやすい。TikTokでは、ユーザーたちが走っている動画にウマ娘のロゴや音楽を入れたオマージュ動画を多く見ることができます。そういった動画にウマ娘ファンや競馬ファンからコメントがついたりするので、配信者にとっても注目されやすいというメリットがあるんですね。
なお、そういったコンテンツはマーケティング用語では「UGC(User Generated Content/一般ユーザーによってつくられたコンテンツ)」と呼びますが、この場合は「二次創作」といった方がなじみやすいかもしれませんね。
――従来型の二次創作は「絵やマンガが描ける」などの高等技術が前提でしたが、ウマ娘の場合は二次創作のあり方に新風を巻き起こしていますね。スマホで撮影した走る動画を活かした、かなり気軽で、ライトに発信できる二次創作というか。