脱炭素社会の実現に向け、発電時に二酸化炭素(CO2)を出さない洋上風力発電の市場は拡大する。風車の基幹部品製造を商機と捉え、他社と連携しながら「成長が見込める市場で一定の役割を担いたい」と、畠澤氏は意気込む。
畠澤氏が“ポスト綱川”として浮上してきたのは、原子力出身で経済産業省とのパイプが太いからだという。経済産業省をうしろ立てにして、「物言う株主」と対峙することを期待する向きがあるからだ。しかし、畠澤氏は根っからの技術屋で「物言う株主」との接点はない。交渉役は海外投資家を招き入れた綱川社長に頼るしかない、という見立てをする若手社員もいる。
東芝のトップ人事は西室泰三氏以降、失敗の歴史である。彼らの多くは今日の混迷、迷走をもたらした。レイモンド・ゼイジ指名委員会委員長は“ポスト綱川”をどう判断するだろうか。
【東芝歴代社長】(1996年以降)
・西室泰三 1996年6月~2000年6月
・岡村正 00年6月~05年6月
・西田厚聡 05年6月~09年6月
・佐々木則夫 09年6月~13年
・田中久雄 13年~15年7月
・室町正志 15年7月~16年6月
・綱川智 16年6月~20年3月
・車谷暢昭 20年4月~21年4月
・綱川智(再任) 21年4月~
東芝の取締役会は7月30日、“ポスト綱川”を社内外から選ぶため、外部の幹部人材会社2社を選定したと発表した。「取締役会議長の候補者は、社外から探す」とした。社長候補の選定には時間がかかるとの見方が大勢で、まず新たな取締役候補選びを進める。
東芝の首脳が経済産業省と連携し、投資ファンドに対して株主総会への提案取り下げなどの圧力をかけたと指摘された問題の究明と再発防止を図るための「ガバナンス強化委員会」(仮称)の設置もあわせて検討していることを明らかにした。
中核事業と非中核事業の区分についても、これまでの方針を見直し、新たな区分を示し、非中核事業は売却する。
(文=編集部)