スマホを操作しながら充電する“ながら充電”。端末の内部温度を上げ、バッテリー劣化につながりやすくなることが、国立大学法人電気通信大学・iパワードエネルギー・システム研究センター横川研修室らによる、複数の統計学的研究で明らかになっている。
誰しもがついやってしまいがちな習慣だが、実際にはスマホに対してどの程度の影響があるのだろうか。また、他にスマホのバッテリー寿命を縮めてしまう習慣も気になるところである。そこで今回はITジャーナリスト・石川温氏に話を聞いた。
まず、“ながら充電”をするとスマホにはどういった影響が出るのだろうか。
「“ながら充電”はバッテリーに熱を発生させ、負荷をかけます。するとバッテリーは消耗し、そのぶん寿命は縮まってしまうんです。さらに、バッテリーが熱を持てばそれだけスマホの処理能力も落ちるため、ゲームや動画視聴もしにくい状態になります。
ただ最近のスマホは、そうした問題に対応した最新AIが搭載されている機種もあります。例えばそういった機種では、スマホに充電ケーブルを挿しているときにゲームや動画視聴をしても、ゲームや動画の処理にのみ電気が使われるんです。要するにゲーム中や動画視聴中は充電されず、終えたら充電が始まるといった仕組みになっています。このようにバッテリーに過度な負荷がかからないような配慮がなされたスマホが登場している時代なんです」(石川氏)
他にもスマホの寿命を縮めるバッテリーに負荷がかかってしまうようなケースはないのか。
「電池が切れた“残量0%の状態”での充電、また“90%から100%”への充電もバッテリーに負荷をかけてしまいます。ですからスマホの電池を使いきってしまうのはなるべく避け、電池残量に余裕を持った状態で充電を始めるということが大切。
また、こまめに充電することはバッテリーへの負荷はありませんが、100%まで充電しきるのではなく、90%程度で充電を止めることがバッテリーを長持ちさせるコツとして推奨されています。ただ前述したように、その点においてもバッテリーに配慮したAIが搭載された機種はすでに登場しており、一例ですが、電池残量が90%程度になるとゆっくり充電するようになるといった機種もあります。
他にはAIがユーザーの生活習慣を把握し、夜間の充電中に90%までは通常通りに充電し、残りの10%はユーザーの起床時間の直前ぐらいに100%になるようにゆっくり充電するというような機能を搭載した機種もありますね」(石川氏)
実際にソニーの「Xperia」やアップルの「iPhone」などに、そういった最新AIが搭載されているという。
続いて、以前からネット上に飛び交うスマホに関する“噂”の真偽について話を聞いた。
「昔は、電池残量0%まで使いきったほうがバッテリーの持ちがよくなる、なんて話がありましたがそれはデマですね。他にも、アップル製品は2~3年でバッテリーの寿命が切れるように設計されている、なんて噂もありましたが、それもデマ。2~3年どころかもっと長く使っている人もいましたし、アップル製品は古い機種でも最新のOSにアップデートできるので、むしろ長持ちして使えるかもしれません。
また、急速充電機器の使用がバッテリーに負荷をかけるという話もありましたね。これに関しては、急速充電器だからダメというわけではないですが、メーカーの純正品でない充電器を使っていると悪影響があるかもしれません。ですから、例えば出先で充電するために急遽100円ショップで購入した充電器を使うといった行為は、避けたほうがいいのではないでしょうか。メーカーは開発段階で純正パーツを用いてさまざまな検証を行っていますので、バッテリー寿命を長持ちさせたいのであれば純正品を使うことはかなり重要でしょう」(石川氏)