――東京オリンピック・パラリンピックでの活用については、具体的な話は出ているのでしょうか。
鈴木 オリンピックのヨットやボートなどの競技では空撮で利用されますが、これはIOCが認定しているスペインに本部のある撮影団体が一手に担うことになります。聖火ランナーについてはNHKが代表して撮影しています。ドローンは国内のマラソン競技などでも活用され、空撮だけでなく、選手が倒れたときにAEDなどを搬送するのにもドローンが活用されています。
――ドローンを活用した本格的な物流は、いつ頃からできるようになるでしょうか。
鈴木 高傾斜のある山間部や船を使わなければならないような離島での活用の可能性があります。人が担いで運ばなければならないようなところでドローンを活用する実証実験はすでに行っていますし、楽天は山小屋に物を運ぶサービスを始めているところもあります。川沿いにドローンを飛ばして物を運ぶ実証実験も、さまざまな自治体で行われています。
事業化にはもう少し時間がかかると思います。ドローンの事業免許はまだ日本では準備されていません。米国連邦航空局(FAA)ではアマゾンやUPS、グーグルなどに免許を発行しています。ビジネスとして始まっているわけではありませんが、儲かることがわかればそうした事業者はどんどん事業化すると思います。
――「レベル4」はいつ実現するのでしょうか。
鈴木 22年には法律上は、許可された飛行機で許可された免許を持った操縦者がいれば、ケースごとに審査されますが、許可が下りれば人の上を飛ばしてもいいということになっています。今は人がいるところでは飛ばせませんが、いずれは人口密度が低い地域などから利用が開始されると思います。
(文=松崎隆司/経済ジャーナリスト)
●松崎隆司/経済ジャーナリスト
1962年生まれ。中央大学法学部を卒業。経済出版社を退社後、パブリックリレーションのコンサルティング会社を経て、2000年1月、経済ジャーナリストとして独立。企業経営やM&A、雇用問題、事業継承、ビジネスモデルの研究、経済事件などを取材。エコノミスト、プレジデントなどの経済誌や総合雑誌、日刊ゲンダイなどで執筆している。主な著書には『ロッテを創った男 重光武雄論』(ダイヤモンド社)、『堤清二と昭和の大物』(光文社)、『東芝崩壊19万人の巨艦企業を沈めた真犯人』(宝島社)など多数。日本ペンクラブ会員。