近年は液化天然ガス(LNG)の火力発電に切り替わりつつあり、LNGのなかでも特にエネルギー効率のよいコンバインドサイクル型のLNG発電にシフト中だ。通常のLNG火力は、天然ガスでつくった高圧の蒸気で発電機につながったタービンを回転させていた。しかしタービンを回転させたあとでも、かなりのエネルギーを持っているが、ほとんど廃熱として捨てられていた。
この捨てられていた低圧蒸気を再利用して、低圧用の小さいタービンを回転させエネルギー効率を良くしたものがコンバインドサイクル型だ。
沖縄電力も2012年からコンバインドサイクル型LNG火力を導入し、LNGタンカーが着岸可能な発電所を稼動させている。現在沖縄本島には、石油火力が2カ所、石炭火力が2カ所(離島はおもにディーゼル発電機)が稼動しているが、これらをCO2排出量が半分程度になるLNG火力に切り替えたいとしている。
とはいえ設備費も期間もかかるため、そのつなぎとして設置が簡単な太陽光発電「かりーるーふ」だ。つい先日の4月20日には、小泉進次郎環境相が記者の囲みインタビューにおいて「30年まで時間がないなか、“屋根置き”といわれる自家消費型の太陽光が切り札だ」と述べている。
本州の火力発電所も沖縄同様に大半が石油か石炭を燃料にしている。例外的に東京電力と中部電力の合弁会社のJERAはほぼLNG化が完了し、東京湾を囲む火力はほぼ9割、中部電力管内も7割程度となっている。
オールジャパンとしても、沖縄電力のように個人宅の屋根を借りて発電するというサービスが普及するかもしれない。
LNGはCO2削減にとって大きな武器になることは確か。また、発電所は電力会社だけでなく、大型のショッピングモールや病院、公共施設などでも使われている。規模こそ小さいが、これまでは主に重油や軽油などが使われていた。これらもLNG化できれば必然的にCO2排出量を抑えられる。
しかしLNGを使うには問題がある。石油系であれば金属タンクに貯蔵しておけばいいだけの話だが、LNGの貯蔵にはマイナス165℃程度の冷凍機と、高圧に耐えられるタンクが必要になる。さらにLNGを輸送するためには、同等の性能を持つ専用の車両が必要になる。
そこで沖縄電力では、顧客をサポートするためにLNG化のソリューションも提供している。その代表がLNG発電所からほど近くにある圏内最大級のショッピングモール「イオン」、その隣にある大きな病院、近隣に面する公共体育館とスポーツジムへのLNG貯蔵と天然ガスを供給するための「天然ガス供給センター」だ。ここでは高圧低温で貯蔵しているLNGを気化させて、天然ガス(都市ガス)として供給する。
イオンではガスエンジン発電機を使い一部電力を自分でまかなっている。停電になった場合は、そのまま施設内の非常用発電機として作動する。また、エンジンの廃熱は回収され、冬の暖房に利用されるのだ。もし熱量が足りない場合は天然ガスを燃焼して熱量を補う。一方、冷房は、電力を使って冷凍機を稼動して全館に送風するというわけだ。