病院は天然ガスを使った発電・非常用の発電機として使い、廃熱は温水ボイラーに回し給湯に使われる。また天然ガスを使った冷暖房にも使われている(その仕組みはややこしいので「ガス吸収冷温水機」で調べていただきたい)。またスポーツジムでは、温水プールの熱源としても使われている。
那覇から車で2時間ほど離れたリゾートホテルでも、実験的な試みがされており、エネルギーコストを30%カットできたとしている。とにかくお湯の需要が多いホテルでは、業務用のヒートポンプ給湯器(電気を使いエアコンと同じ要領でお湯を沸かす)や、エコキュートを導入。さらには太陽熱温水器なども利用している。また、温泉を使った低温地熱発電を導入したり、空調以外にも自然の風を積極的に取り入れるなどして、コスト削減だけでなく「沖縄の自然との共生」も目指しているという。
このように沖縄電力では、自社の使う発電用のLNGだけでなく、地域の小さな発電機の改善を促し、発電時の廃熱もうまく利用することで、より効率のよい発電・熱源ソリューションを提供しているのだ。
東京電力が発電用に購入したLNGを使い都市ガスも販売している。これは東京湾を囲むJERAのLNGパイプラインを使い、発電用のLNGの一部を一般家庭に売り出しているためだ。いわば沖縄電力の「天然ガス供給センター」の巨大版といえる。ガスと電気を融合させると、より効率良いエネルギーとなるのは確かなようだ。
海に囲まれ風に恵まれている沖縄なら、さぞかし風力発電が有効に使われているだろうと思いきや、実はまだ実験段階だという。その理由は台風だ。微風でも発電機が回せるほど大きな羽を持つ風車は、台風の風をモロに受けると破壊されてしまうためだ。そのため強風を安全に受け流せるようにした上で、強風や無風の時にも電力が供給できるように、発電した電力をいったん蓄電池に溜めて、安定した電力が送れるようにするための研究を行っているという。
太陽光発電もしかり。夜や悪天候時には発電できないため、かりーるーふでは各家庭に蓄電池を設置して安定供給できるようにしている。本州の電力会社各社も、やはり安定した電力を供給するための蓄電システム、新しい蓄電池などの研究をしているのだ。資源エネルギー庁の「エネルギー白書」によれば、中間目標の2030年の電源構成比を、次のよう掲げている。