文政権を見放した米国、文在寅よりサムスン電子を優遇…韓国の軍事技術が北側へ大量流出か

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米国のジョー・バイデン大統領(左)と韓国の文在寅大統領(右)(写真:AFP/アフロ)

 韓国で行われたソウルと釜山の市長補欠選挙で、最大野党「国民の力」の候補が与党「共に民主党」に圧勝し、与党執行部は総退陣に追い込まれた。2022年3月に行われる大統領選挙を前に大きな痛手となった文在寅政権は、窮地に立たされている。一方で、北朝鮮も金正恩体制の耐久力が尽き、米国と中国の対立も激化している。

 朝鮮半島情勢について、元駐日韓国大使館公使で「統一日報」論説主幹の洪熒(ホン・ヒョン)氏に聞いた。

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米国に見放された文政権

――文政権は親中と言われますが、韓国の国民はどうなのでしょうか。

洪熒氏(以下、洪) 世論調査で4分の3が反中であるほど、韓国国民は中国に対して嫌悪感や警戒心を持っています。しかし、文政権は国民多数とは逆に、韓国という先進工業国、しかも米国の同盟国を中国に服属させようとしています。そんな文政権を、米国はついに見放しました。

 文政権は、朴槿恵前大統領を粛清するため、サムスン電子の李在鎔副会長が朴前大統領に賄賂を提供したという濡れ衣を着せては、実刑判決で収監しました。共産主義者の文在寅集団は、かねてから企業を敵対視し、韓国の大企業の代表格のサムスン電子を解体せよ、と言ってきました。ところで、米国の朝野は文政権の人権弾圧を非難し、文政権と韓国国民・企業を区分しています。ジョー・バイデン大統領も、半導体不足を受けての対策会議にサムスン電子も招聘しました。

 米国は、韓半島が中国のものになることを絶対に認められません。しかも、米国の同盟国で、半導体技術をはじめ、世界5大工業国の韓国が中国の支配下になれば、5Gなどの技術覇権争いで中国が強い競争力を持つようになるからです。

――しかし、文政権は中国寄りの姿勢を続けていますね。

 米国や日本も内部崩壊戦略で掌握を目論む中国共産党は、韓半島をいわゆる「第1列島線」の内側に入れているほど、彼らの領域とみなしています。今、韓国のドラマやテレビ番組の多くに中国共産党がスポンサーとして出資しています。『軍艦島』など韓国の反日映画の多くは中国共産党が制作費を出し、韓国で最も使われているSNS「カカオトーク」も中国資本が買収しました。

 内容があまりにも中国寄りのため、2回で打ち切りになったドラマ『朝鮮駆魔師』の脚本家も、中国共産党の文化工作員です。このドラマは韓国人の怒りを買い、スポンサー企業が撤退したことで打ち切りとなりました。さらに、中国企業のテンセントは韓国のゲーム会社やメディアに投資し、韓国の中国化を進めているのに、文大統領はそれに協力しています。

――韓国の中国への接近ぶりが、米国の警戒や怒りを買っているようですが。

 文大統領の「中国共産党100周年祝賀」が問題になったことは記憶に新しいです。また、日米韓による安保担当高官の協議が行われたその日、鄭義溶外交部長官が中国へ行き、王毅外相と会談し、「中国共産党100周年を心から祝賀」と発言したことなどで、米国の朝野は文政権を軽蔑しています。

 中国共産党は長年、韓国内で共産革命家を育て、支援し、韓国を乗っ取り、最終的に中国共産党に捧げるように工作してきました。そういう工作活動が、現実に成功しつつあることを示しています。過去の歴史を見ても、自由民主主義国家が自ら共産国家になった事例はありません。今の米中戦争は、親中勢力に乗っ取られた韓国が、選挙で自由民主体制を取り戻すのか、それとも共産全体国家の一部になるか、という戦いでもあるわけです。

――北朝鮮の金正恩国務委員長がミサイル発射を再開するなど、再び揺さぶりをかける動きを見せています。