コロナ禍という非常事態に受験生は例年以上に気を使い、大変な思いをしたはずだ。
「また、県外からも受験生が集まる、例えば聖光学院中学などの難関男子校は、その影響もあってか志願者がおおよそ2割も減りました。難関女子校の場合だと大体1割減。ただ、その減少分は合格に近い受験生層が減少するわけではなく、おそらく合格からは比較的遠い層が減少するので、実際に合格者平均点には影響しなかったのではないかと思います」(森上氏)
こんなご時世なので、記念受験は間違いなく減っただろう。また、ほかにも例年にはない変化があるという。
「今後は共学化する女子校が増えていくかもしれません。2022年4月には、女子高である星美学園中学が『サレジアン国際学園中学』に名称変更して共学化しますし、ほかにも女子校が共学化する動きは加速化していく可能性があります。
というのも、私立中学は女子校の数がものすごく多いんです。女子生徒の数に比べて供給過多なくらいの学校数があるわけですから、どの学校も募集が厳しくなってきています。すでに定員に大きく足りていないという学校がいくつかあって、そうした女子校は共学化してうまく運営が回った事例が多いんです。
ちょうど今年は大学受験で大学入学共通テストの利用も始まり、中学入試でもそれに合わせる形で新しい形式の試験問題を導入する中学もありました。例えば、すでに慶應湘南藤沢中学や広尾学園中学では、英語を受験科目の一つとして取り入れています。英語が得意な子であればそうした中学を受けるなど、自分の特性を生かした入試にチャレンジするのもおすすめですね」(森上氏)
中学受験という大変な時期にコロナ禍が重なってしまい、神経をすり減らした受験生は多かっただろう。来年度の受験生は今年度の傾向を踏まえ、上記のアドバイスをぜひ参考にしていただきたい。
(文=二階堂銀河/A4studio)