この上倉容疑者も口がうまいんですよね。佐藤ゆかり議員の秘書をしていたときは、佐藤議員はどこに行くにも彼を随行させていましたし、参議院議員の事務所では公設登録までしていたのですから驚きです。強盗のほか、詐欺や窃盗も繰り返していたようです。
実は、神澤も秘書仲間に投資詐欺で騙されたことがあります。今にして思えば見抜けたはずですが、当時は財務副大臣の政策秘書だった彼を信用してしまいました。肩書を信じ、人間性を見極められなかったんですね。お恥ずかしい話です。
また、公設秘書や政策秘書と聞くと結婚の条件としてよく見えるようで、独身と偽ってデートを重ね、不倫だとわかった途端に修羅場になる秘書もいます。中には、相手の女性が失意のあまり自殺された方もいます。これって結婚詐欺と同じですよね。
本当に結婚詐欺の被害に遭った友人秘書もいます。秘書同士ということで信用してしまったのでしょうね。後からわかったのですが、友人秘書は2000万円も貢いでいて、現在も裁判で争っています。
その裁判の過程でわかったことは、日本は重婚を認めていないのに「重婚状態は受け入れている」という衝撃の事実です。たとえば、一方が勝手に離婚届を出し、新たな相手と再婚するとします。後にそれがわかって離婚届の無効が認められると、その婚姻関係も再婚も有効と認められるのだそうです。
戸籍上は、2人の配偶者が同じ人物という状態。「そんなのおかしいでしょ?」と思いましたが、国は何かをしてくれるわけではなく、あくまで当事者が家庭裁判所に申し立てて、どちらかを整理しないことには重婚状態が続くのです。このことは、また別途追及したいと思います。
口のうまい秘書には、くれぐれもお気をつけください。国会議員の秘書である神澤が言うのもおかしいですが、みなさんにくれぐれもご理解いただきたいのは、国会議員の秘書は偉くもすごくもないということです。世間には、神澤のような政策秘書のことを拝むように接してくださる人もいます。多少、政治の世界に詳しく、法律にも詳しいというだけです。
(文=神澤志万/国会議員秘書)