不振の半導体製造装置がデジタルカメラを支えることが難しくなったことが、ダブルパンチとなった。
ニコンは昨年11月、構造改革案を発表した。グループ全体の1割にあたる2000人の人員の削減に乗り出す。カメラは国内生産を止めてタイに集約。販売人員を削減して同部門のコスト(経費)を630億円減らす。
国内生産は交換レンズに特化する。3月末にデジタルカメラの交換レンズを生産する長井工場(山形県長井市)と会津工場(福島県只見町)の操業を停止し、交換レンズの国内生産は栃木県大田原市の工場に集約する。8月に子会社のティーエヌアイ工業(栃木県大田原市)が持つ2つの工場を閉鎖する。
交換レンズは国内では高級モデルが中心となる。ミラーレスで使用できる一眼レフのレンズだけで約400種あり、なかには100万円を超える高級品もある。レンズは一眼レフ向けとミラーレス向けを生産しており、どちらも生産を続ける。オリンパスは昨年6月、慢性的な赤字が続くデジタルカメラを軸とする映像事業を投資ファンドの日本産業パートナーズ(JIP東京・千代田区)に売却すると発表。デジタルカメラ市場から撤退を決めた。
JIPは映像事業を担う新会社OMデジタルソリューションズ(東京・八王子市)を設立。21年1月1日にスタートを切った。オリンパスはキヤノン、ニコンと並びカメラ市場を牽引してきた。デジタルカメラではミラーレス一眼レフをいち早く市場に投入するなど存在感を示していた。そのオリンパスをもってしてもスマホの台頭を受け、2010年以降、カメラ部門の低迷が続いていた。
ニコンがカメラから撤退する日がやって来るのか。
(文=編集部)