2020年には、国民生活安定緊急措置法違反で、アルコール消毒液やマスクなどの高額転売をした容疑で逮捕者も出ている。新型コロナウイルス感染拡大でアルコール消毒液やマスクなどの不足が続いたため、5月に同法を改正、高額転売は禁止となっていた。
8月には大阪府の吉村知事が会見で、新型コロナウイルスに対してポビドンヨードを含むうがい薬が有効な可能性があると言及し、品不足、転売が横行。しかしうがい薬は医薬品に当たり、医薬品医療機器等法により、行政の許可がなければ製造や輸入、販売はできず、出品は禁止されている。この場合も、メルカリから商品の削除等の対象となっていた。
メルカリでは、転売以外の問題も多く起きている。
たとえば転売で売上が上がっている場合、給与所得がある人は年間20万円以上、給与所得がない人は48万円以上の利益が出ていれば、譲渡所得50万円を上限とした控除を超えた場合に、所得税が発生する。ある40代女性はメルカリなどのフリマアプリでの収益を数年分申告していなかったため、税務署の調査を受けて100万円以上の追徴課税を支払うことになったという。
国税庁の「令和元事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」(2020年11月)によると、インターネットを使った電子商取引を行っている個人に対して2019年度に税務調査の対象となった1877件のうち、1680件で無申告が発覚。追徴課税は、前年度比約12%増の65億円に上っている。該当する人は、必ず申告しておくべきだろう。
フリマアプリなどでの個人間取引は、商品に対するクレームや勝手なキャンセルなど、トラブルが多いことが知られている。最近では、トラブルになった相手のアカウントや住所を、「#メルカリ晒し」などのハッシュタグを付けてSNSでさらす行為も横行している。「クレームをもらっても無視していたらアカウントをさらされた。送った商品に不備はなかったのに……」とある30代女性は肩を落とす。
メルカリなどのフリマアプリのおかげで要らないものが売れてお小遣いが手に入り喜ぶ人は多い。しかし、利用の仕方によってはさまざまなトラブルや法律違反につながる可能性があるので、注意して利用してほしい。
(文=高橋暁子/ITジャーナリスト)
●高橋暁子/ITジャーナリスト
書籍、雑誌、Webメディアなどの記事の執筆、企業などのコンサルタント、講演、セミナーなどを手がける。 SNSなどのウェブサービスや、情報リテラシー教育などについて詳しい。元小学校教員。『ソーシャルメディア中毒』(幻冬舎)など著作多数。『あさイチ』『ホンマでっか!?TV』などメディア出演多数。
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