たとえば、建設経済研究所では、19年度の新設住宅着工戸数88.4万戸に対して、20年度の見通しとしては79.7万戸に減少するとし、21年度もほぼ同じ水準が続くとみています。図表5にある通りです。新築マンションは着工後しばらくしてから、新築一戸建ては着工して数カ月後の竣工前後に売りに出されるのがふつうですから、これだけ着工戸数が減るということは、21年度の新規発売が減っていくであろうことを意味します。
持家、貸家、分譲住宅の利用形態別にみると、いずれも減少見通しであることは変わらないのですが、分譲住宅は26.0万戸から24.3万戸に減るとみています。
不動産経済研究所の調査では、19年の首都圏の新築マンション発売戸数は3万1238戸でしたが、20年は10月までの累計で1万7084戸にとどまっており、20年1年間を通しての発売戸数が3万戸割れになるのは間違いなさそうです。
21年は、コロナ禍がいつ収束するのかにもかかってきますが、再び3万戸台に回復できるかどうかということになって、急速な増加は期待できそうもありません。21年に新築マンション探しを考えている人にとっては、価格は依然として高い状態であり、供給数も限定されるので、あまり恵まれた環境とはいえない状態になりそうです。
(文=山下和之/住宅ジャーナリスト)