つまり国民が真っ二つに分断された世界では、5割の人たちが「Go To怖い」と言って家にひきこもり、5割の人たちが「Go Toお得じゃん!」と喜んで2 度旅行に出かけ、10回ディナーを楽しみ、合計8万円のおトクをゲットするようなおかしな出来事が起きて、それで世の中の経済がなんとか回るというような不思議な出来事が起きるのです。
こうして平均だけを見ていると、世の中がまったく理解できず、逆に身の回りだけを見ていると世の中の両極端のどちらかしか目に入らないという、とても不思議だけれどもそれが現実であるという新しい時代が始まっているという話なのです。
(文=鈴木貴博/百年コンサルティング代表取締役)
●鈴木貴博(すずき・たかひろ)
事業戦略コンサルタント。百年コンサルティング代表取締役。1986年、ボストンコンサルティンググループ入社。持ち前の分析力と洞察力を武器に、企業間の複雑な競争原理を解明する専門家として13年にわたり活躍。伝説のコンサルタントと呼ばれる。ネットイヤーグループ(東証マザーズ上場)の起業に参画後、03年に独立し、百年コンサルティングを創業。以来、最も創造的でかつ「がつん!」とインパクトのある事業戦略作りができるアドバイザーとして大企業からの注文が途絶えたことがない。主な著書に『ぼくらの戦略思考研究部』(朝日新聞出版)、『戦略思考トレーニング 経済クイズ王』(日本経済新聞出版社)、『仕事消滅』(講談社)などがある。