メルカリ、上場から3年連続赤字…コロナ特需で初の四半期黒字、米国撤退説が吹き飛ぶ

 小泉文明会長は20年2月、上半期の決算説明会で「(米国で)目標である月間流通総額1億ドル(約107億円)の達成はハードルが高い」と語っていた。投資家の間では、「米国事業からの撤退」が取り沙汰されていた。

 ところが神風が吹く。コロナ禍によるロックダウンで、メルカリで娯楽系の商品を売り買いする人々が増え、上場前から目指していた月間流通総額1億ドルを達成した。20年6月期の決算説明会で山田CEOは「米国事業の継続を決定した」と発言した。「月間1億ドル」をコミットメント(必達目標)としてきたこともあって、達成できなければ投資の縮小を考えていた、という。コミットメントを達成したことで「米国市場を攻め続ける」と宣言した。

「月間1億ドル」達成はロックダウンがもたらした特需である。今後、この数字を持続的に確保できれば、米国事業を確実に黒字化させることができるのだろうか。

2四半期連続で営業黒字

 メルカリは10月30日、21年6月決算の第1四半期(20年7~9月期)の連結決算を発表した。営業利益は3億6400万円の黒字(前年同期は70億円の赤字)だった。2四半期連続で営業黒字を確保したことになる。広告費の削減が寄与した。連結売上高は前年同期比52%増の221億円、最終損益は42億円の黒字(同71億円の赤字)に転換した。

 メルカリ米国事業が最大の注目点だ。米国で展開するマーケットプレイス「Mercari」がどんな数字を出してくるかだ。流通総額は第1四半期累計で307億円。前年同期比で190億円増加した。巣ごもり需要が一服したとみられるなかで、高水準で推移したことは、市場関係者に驚きをもって受け止められた。

 今後、第2四半期以降も米国の流通総額で目標としてきた月間100億円以上を維持できるのか。通期の米国事業の黒字化はいつなのかに焦点が移った。

(文=編集部)