Go To イート、税金「2千億円」投入し事業委託先と大手予約サイトを儲けさせる愚策

誰のためのGo To イートなのか

 そもそも多額の税金を使うGo To イートは、なんのためにやるのだろう。その目的について農水省は「甚大な影響を受けている飲食業に対し、期間を限定した官民一体型の需要喚起を図るもの」だとしている。つまり、飲食店を救済したいのであって、サイト運営会社を救済したいわけではない。

 しかし、オンライン飲食予約は、経済効果は乏しく混乱を起こすだけであって、飲食業の需要を喚起するには程遠い結果となる可能性がある。不正利用があったのかなかったのかも、うやむやにされる可能性がある。結局、一部のオンライン予約に慣れている消費者とサイト運営会社だけが得するキャンペーンになるだろう。

 Go To トラベルは、すべて旅行会社経由で実施され、旅行会社と高級ホテル・旅館だけが潤い、中小ホテルや旅館がキャンペーンの恩恵に預かっているとはとてもいえない状況である。これから始まるGo To イベントも、Go To商店街も、中間業者と一部の大手事業者だけが恩恵を受けるようでは、誰のためのキャンペーンなのかわからなくなる。

 結局、一部のオンライン予約に慣れている消費者とサイト運営会社だけが得するキャンペーンになるだろう。国やサイト運営会社、そして飲食店には、総額2003億円もの予算が投下され全国規模で実施するキャンペーンであることを、くれぐれも肝に銘じて取り組んでほしい。

(文=垣田達哉/消費者問題研究所代表)