ZOZO、増収増益も成長鈍化が鮮明…ZHD傘下でも期初計画は未達、ゾゾタウン再建が急務

 ゾゾタウンはペイペイモールとは顧客層が異なるため、両者は補完関係にある。ゾゾタウンの顧客基盤は20代から30代を中心とした若年層だが、ペイペイモールは30代から40代が中心で、両者は顧客層が異なる。そのため、ゾゾタウンはペイペイモールへの出店で従来と異なる顧客層の開拓が期待できる。ペイペイモールでの新規顧客の獲得は進んでいるようで、ペイペイモールで今年1~3月に獲得した新規顧客数は、ゾゾタウンで獲得した新規顧客数の約50%に達している。出店翌日から3月末まで最大で購入額の30%相当を還元するキャンペーンを実施したことが功を奏したという。

 20年3月期のペイペイモール事業の業績は、商品取扱高が61億円、売上高が17億円だった。売上高は、各ショップの商品取扱高に手数料率をかけて算出される。同事業の商品取扱高が全体に占める割合は1.8%、同事業の売上高が全体に占める割合は1.4%となっている。一見すると小さいようにも思えるが、出店したのが昨年12月17日で3カ月半の数値なので、決して小さくはない。1年間販売すれば、そこそこの数値になるだろう。

 ただ、最大30%還元する大がかりなキャンペーンによって集客できた面があり、今後もそれなしで十分な集客ができるかは、なんともいえない。また、ペイペイモールはまだ始まったばかりなので、現段階で集客効果を見極めるのは難しい。そのため、もう少し様子を見る必要がありそうだ。

 ペイペイモールは現段階では計算に入れられないため、成長鈍化が鮮明になっているゾゾタウンのてこ入れが不可欠だ。そこでZOZOが打ち出したのが、自宅で足のサイズを測れる「ゾゾマット」だ。足を置いてスマートフォンのアプリで撮影すると足の3次元形状を計測できるというもので、足の形状に合わせて最適な靴の種類やサイズを提案する。ZOZOは 希望者にゾゾマットを無料で配布し、2月下旬から発送を順次開始。3月上旬には靴専門の通販サイト「ゾゾシューズ」をゾゾタウン内に開設した。ゾゾシューズでは、ゾゾマットで計測した情報を基に顧客の足に合う靴を推奨する。ゾゾマットは119万枚を配布し、計測した人は93万人に上るという。ゾゾマットとゾゾシューズで靴の販売を伸ばし、収益を高めたい考えだ。

 ZOZOはZHD傘下に入り再浮上を図る。はたして、かつての高成長や高利益率体質を取り戻せるのか注目したい。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)

●佐藤昌司 店舗経営コンサルタント。立教大学社会学部卒。12年間大手アパレル会社に従事。現在は株式会社クリエイションコンサルティング代表取締役社長。企業研修講師。セミナー講師。店舗型ビジネスの専門家。集客・売上拡大・人材育成のコンサルティング業務を提供。