衣料品通販サイト「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」を運営するZOZOの成長鈍化が鮮明だ。2020 年3月期連結決算は、売上高が前期比6.0%増の1255億円、営業利益が8.7%増の278億円、純利益が17.6%増の188億円だった。増収増益ではあるが、売上高は19年3月期の増収率(20.3%)を大きく下回り、営業利益と純利益は共に18年3月期(営業利益326億円、純利益201億円)を下回っている。商品取扱高も伸び悩み、6.6%増の3450億円にとどまった。
期初計画は未達だ。売上高は1360億円を見込んでいたが、同計画比で7.7%下回った。営業利益は同12.8%、純利益は同16.4%、それぞれ下回った。商品取扱高も期初計画に達していない。3670億円を見込んでいたが、同6%下回った。同社は理由として、消費増税後の消費低迷に加え、台風など天候不順や暖冬の影響により、高単価の季節性商品の販売が低調に推移したことを挙げている。
このことは、四半期ごとの商品取扱高の前年同期からの増加率を見てみるとよくわかる。第1四半期(19年4~6月)の増加率は13.1%、第2四半期(19年7~9月)が12.6%と、それぞれ大きく伸びていた。しかし、第3四半期(19年10~12月)は0.3%(前年同期は21.0%)の微増にとどまった。19年10月に各地で記録的豪雨をもたらした台風19号や暖冬の影響が色濃く出たためだ。第4四半期(20年1~3月)も、暖冬の影響で増加率は3.2%(同20.1%)と伸び悩んでいる。
台風や暖冬の影響という特殊的な要因による伸び悩みは、ある程度は仕方がない。19年10月~20年3月は、アパレル各社も大半が同様の理由で苦戦を強いられている。ただ、19年4~9月は、そういった特殊的なマイナス要因が少ない。そういったなかでZOZOの同期の商品取扱高は伸び悩んでおり、問題があるといえる。先述したとおり、第1四半期と第2四半期は10%台前半の伸び率を見せている。だが、以前と比べると物足りない。前年同期の第1四半期の伸び率は18.0%、同第2四半期が16.8%と、より大きな伸び率を実現していたし、これより前はもっと高い伸び率を示していた。20年3月期は明らかに失速している。
年間購入者数も伸び悩んでいる。20年3月末までの年間購入者数は827万人で、1年前と比べて1.8%増えたが、以前と比べると伸びは明らかに鈍化している。ZOZOによると新規会員の獲得が鈍化しているといい、会員数の頭打ち感が否めない。また、出店ショップ数も頭打ち感が出ている。20年3月期第1四半期までは増加傾向にあったが、それ以降は1300店前後で概ね横ばいで推移し、伸び悩んでいる。20年3月末で1337店だが、3カ月前からは8店減った。
利益率も、かつてと比べると低水準だ。20年3月期の商品取扱高に占める営業利益の割合は8.1%と物足りない。前期(7.9%)からは若干高まっているが、かつては10%以上を恒常的に叩き出していたので、現在の利益率は満足できるものではないだろう。
このように、ZOZOは成長が鈍化している。もっとも、今後はヤフーを傘下に持つ親会社のZホールディングス(HD)からの支援で再度急成長する可能性がないわけではない。ZOZOはZHDのTOB(株式公開買い付け)により19年11月に連結子会社となった。翌12月には、ヤフーが同年10月に立ち上げたネット通販「ペイペイモール」に「ゾゾタウンペイペイモール店」を出店している。ビームスなどゾゾタウンに出店する約1100のショップが参加した。