DeNA、忍び寄る危機、上場来初の赤字転落…新規事業が軒並み苦境で“稼げる事業不在”

 各社は消耗戦に突入し、まず音を上げたのがDeNA。MOVを中心としたオートモーティブ事業で19年3月期に36億円の営業赤字を計上。開発やマーケティングに巨額の資金を投じたため、これまでに100億円を超える赤字を出している。

 大赤字のタクシー配車アプリMOV事業を日本交通ホールディングス(HD)傘下のジャパンタクシーと4月1日に経営統合する。ジャパンタクシーの19年5月期の売上高は19億円で営業赤字は21億円だ。ジャパンタクシーは統合に合わせて新株を発行し、事業分割の対価としてDeNAが新株を引き受ける。出資比率は38.17%となり、日本交通HDと同率で、ジャパンタクシーの筆頭株主になる。統合後はジャパンタクシーの川鍋一朗社長が会長に就任。DeNAの中島宏・常務執行役員が社長に就く。

 この統合はDeNA が配車アプリ事業の単独での事業化を断念し、ジャパンタクシーに合流するものだ。統合新会社は、DeNAの連結決算の対象から外れ、持ち分法適用会社になる。とはいっても、MOVの累積損失は新会社に引き継がれることなくDeNAに残る。大赤字のMOVを切り離し、配車アプリ事業から、事実上、撤退する。今後、累積損失の処理が大きな課題となる。

 主力のゲームや新規事業の不振で株価は冴えない。新規事業で収益に貢献しているのはプロ野球、横浜DeNAベイスターズぐらい。ライブ配信とヘルスケア保険では心もとない。

 上場初の最終赤字を発表した翌2月7日の株価は、昨年来安値の1516円まで下落した。株価調整後の上場来最高値の4330円(11年8月18日)の35%(65%安)の水準にとどまる。収益回復、株価上昇の決め手はM&Aしかないという見方もある。新興企業のどこをターゲットにするのか。

(文=編集部)