捉え方によってはほかの要素もあるが、まずはこんなところか。こう考えると、現在はキャッシュレスばかりが目立つが、その前に飲食店としての評価が先になる。
以前も紹介したが、マーケティングの視点では、商品の訴求には「機能的価値」と「情緒的価値」がある。今回紹介した二子玉川店は、機能的価値を訴求した店だ。
飲食店を利用する消費者には、両方の価値を求める意識がある。ただし、その時の気分で変わる。無意識のうちに「今日の自分にピンと来た店」を選ぶのだ。
冒頭で紹介した女性たちのコメントを思い出していただきたい。「ミニサイズで手軽に食べられる」「飲み会には向く」「忙しい人にはうれしいサービス」などで、筆者も同感だ。現時点では、そういうシーンに向く店といえよう。
(文=高井尚之/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント)
高井 尚之(たかい・なおゆき/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント)
1962年生まれ。(株)日本実業出版社の編集者、花王(株)情報作成部・企画ライターを経て2004年から現職。出版社とメーカーでの組織人経験を生かし、大企業・中小企業の経営者や幹部の取材をし続ける。足で稼いだ企業事例の分析は、講演・セミナーでも好評を博す。 近著に『20年続く人気カフェづくりの本』(プレジデント社)がある。これ以外に『なぜ、コメダ珈琲店はいつも行列なのか?』(同)、『「解」は己の中にあり』(講談社)など、著書多数。