こうした出願傾向の大きな要因は、やはり受験生の現役志向です。浪人しても第1志望を目指す時代は過去にありましたが、現在は高校卒業時に合格できる・合格した大学に進学すると考える受験生がほとんどです」
難関大学の志願者が減っているなら、合格するチャンスは増えていると見ることはできるだろうか。
「志願者数減少に応じて当然倍率は下がります。しかし、倍率が下がることと入試難易度が下がることはイコールではありません。各大学から公表されている合格最低点を見ると、倍率が下がっていても最低点の変化が少ない大学・学部も数多く存在します。難関大学の受験は是非チャレンジしてほしいですが、合格するための勉強、準備をきちんとしないことにはチャンスが広がらないのは言うまでもありません」
大学入試改革の先送りに関して、受験生自身が心がけるべきことはあるだろうか。
「センター試験から共通テストに変わることで、思考力や判断力を測るための問題が増える見通しです。しかし、センター試験の問題が基本となるので、過去問がないと考えるのではなく、問題傾向や選択肢については知っておきましょう。また、センター試験の大原則である『高校で学習した内容の確認』という点も共通テストでは引き継がれます。まずは高校の授業で習う『基礎・基本』を疎かにせずに勉強を継続しましょう。並行して志望校に関する情報収集はしっかり行いましょう。入試の仕組みが変わる中で、どういう入試を実施するのかを正確に把握することが大切です」
首都圏と地方の不平等感が改革を先送りにした大きな要因だったが、結局のところ地方は取り残されたと見ることができるかもしれない。この観点からの議論も期待されるところだ。
(文=深笛義也/ライター)