かつては日本のSNSを代表するサービスだったmixiが、新たなSNSサービスに挑戦している。12月16日、iPhone / Android向けアプリとして提供が開始された「mixi2」は、プレスリリースもなく、ひっそり立ち上げられたのだが、X(旧Twitter)などを通じて招待コードが共有され、瞬く間にネットのバズとなった。
mixi2は149.3文字(ミクシィの逆読みにちなんでいると思われるが、実際には150字まで入力できることが確認されている)という投稿制限を設けた短文投稿型のSNSだ。基本的なUIはXに似た設計を踏襲しているが、テキストベースのコミュニケーションをより豊かにする工夫が随所に取り入れている。
文字の大きさを変えたり、震わせたり、点滅させたりできる「エモテキ」機能は、投稿に感情や強調を加えるのに効果的だ。たとえば、嬉しい出来事を報告する際は文字を大きくして喜びを表現したり、驚きの気持ちを文字を震わせることで視覚的に伝えられる。
また、投稿に対する反応として、さまざまな絵文字でリアクションを示せる機能も実装されている。
こうした機能は、SNS「Misskey」やiPhoneの「iMessage」などにも実装されており、テキストだけでは伝わりにくい感情やニュアンスを表現できる仕組みだ。
「今を共有でき、すぐ集える」をコンセプトに掲げるmixi2は、ユニークな展開方法を選んでいる。同社は「友人知人など身近で安心できる人同士で繋がり、じっくりと心地良い関係を構築して人づてで少しずつ広がってほしい」という考えから、意図的に報道発表を控えたそうだ。招待制を採用しながらも、招待コードの共有回数には制限は設けられていない。
これは2つの狙いがあると考えられる。1つは、サービス立ち上げ初期のアクセス集中を緩和する効果だ。もう1つは、SNSを通じたバイラル的な拡散効果を期待したものだろう。実際、XやBlueskyでは招待コードを共有するユーザーが多く見られた。
アルゴリズムによる投稿推薦が当たり前となり、見知らぬ人の投稿(そして広告)が次々と表示される現在のSNS。mixi2はそんな流れに一石を投じるかのような選択をしている。
サービスの中核となるホーム画面では、“フォロー中”をデフォルトのタイムラインに設定している。これは現代のSNSでは珍しい選択だ。多くのSNSがアルゴリズムによる“おすすめ”を前面に押し出す中、ユーザー自身が選択した情報源を優先する姿勢を示している。
もちろん、新しい出会いを提供する“発見”タイムラインも用意されているが、それはあくまでもユーザーが能動的に切り替えて利用する仕様となっている。このようなデザインから、ユーザーの選択を重視しながらプラットフォームとしての発展性も確保するという、バランスの取れたアプローチが見て取れる。
名称に「2」を冠しているものの、mixi2は従来のmixiとは、まったく別のサービスとして設計されている。従来のmixiは日記を書いて読み合うような、ゆったりとした時間の流れるSNSだった。対してmixi2は「今この瞬間」を共有することを大切にしている。これはSNSの使われ方が大きく変化した現代だからこその選択と言えるだろう。