4人で作ったインディゲームが「アニメ化」するまで

また、ループのたびに誰がグノーシアかなどの設定が毎回変化するわけで、そのあたりの複雑さをどう描くかも気になるところだ。

ゲーム版『グノーシア』
ループによって誰と仲が良いかすらも変化するため、意外な人物から告白を受けたり協力を求められることも。画像は『グノーシア』公式サイトより

何より、『グノーシア』はゲームのために作られたストーリーが用意されている。ゲームとほかの娯楽媒体の最大の違いは、プレイヤーが操作して進めることにある。つまりインタラクティブ(互いに作用し合うもの)であり、一方的なストーリーではないのだ。それを視聴する形式のアニメにするのであれば、大胆な改変を加える必要がある。

アニプレックスのプロデューサーは「原作を喰うつもりでやる」と語っているそうで、ここには何かアイデアがあるのだろう。

プレイヤーごとに解釈の幅が大きいのが『グノーシア』のようなゲームである。これまで遊んだことのない人を楽しませるのはもちろん、ゲームを楽しんだ人も納得させるアニメになるか、出来栄えが気になるところだ。

原作ゲームのプロデューサーを直撃

TVアニメ『グノーシア』はまだ発表されたばかりであり、どのような作品になるかは想像もつかない。そこで、ゲームを開発したプチデポットの代表である川勝徹氏(以下、川勝)にメールインタビューを実施した。

──TVアニメ化の経緯はどのようなものだったのでしょうか。

川勝:3年ほど前、アニプレックスの本作担当のプロデューサーから熱烈なアニメ化のご提案をいただきました。アニメ化できたらとても素晴らしいものになるだろうと確信する反面、実現するためには、乗りこえなければいけない課題がいくつもありました。

それをひとつひとつ解決して、納得できる形になるまで、何回も会話を重ねた結果、グノーシアファーストでお付き合いいただけると実感できたので、アニメ化をお受けすることにしました。

──原作スタッフはどのあたりまで関わっているのでしょうか。

川勝:プチデポットの各メンバーがもっているグノーシアの世界観や設定について、アニメスタッフに一度レクチャーし、その後継続してシナリオや絵コンテの監修、アニメで許容される内容承認の決断は私がしています。メンバーから、私が一任されているということですね。

また現在、プチデポット4人で制作中の設定資料集も、アニメスタッフには開示をしているので、深い理解のうえで、制作を進めていただいています。

──『グノーシア』はゲームだからこそのストーリーが特徴ですが、その点はどう変更するのでしょうか。特に最後のギミックは気にする人も多いと思います。

川勝: まだ回答する時期ではないので、控えますね。今後のお楽しみということで。

クリエイティブを発揮できる環境づくりに尽力している

──4人の小規模なチームの作品がTVアニメ化となると、まとめ役の川勝さんはかなりの働きがあったかと思います。どのようなところに苦労されたのでしょうか。

川勝:苦労はさほどありません。というのもプロジェクト開始前に、プチデポットメンバーとアニメチームでしっかりと制作方針、スタンスを話しあっており、お互いに気持ちのいい関係でスタートすることができたからです。

その後、制作会社のアサインや、脚本家の選定、声優のキャスティングなど、アニメチームを編成するにあたって、私とアニプレックスのプロデューサーで検討を重ねて、さまざまな課題に取り組んでいただける、実績のあるスペシャリストの方々にオファーをし、全員に快諾をいただけました。

原作者としては、グノーシアの世界観を守りつつ、アニメチームが最大限のクリエイティブを発揮できるよう、絶対的な安心感と環境づくりに尽力しています。

最後に、グノーシア世界には、あまたの可能性があり、プレイヤーの数だけグノーシアの宇宙があります。これまであったゲームの宇宙に加えて、今回、新しくアニメの宇宙が生まれます。是非、温かく迎え入れていただき、グノーシア宇宙のひとつとして、応援していただけたら幸せです。お楽しみに!

インタビューは以上となる。はたして名古屋生まれのインディーゲームはTVアニメ化でさらに多くの人を魅了することができるだろうか。