4人で作ったインディゲームが「アニメ化」するまで

『グノーシア』
名古屋の4人が作ったゲーム『グノーシア』がTVアニメ化決定。ヒットしたインディーゲームが映像化する時代になった。アニメ『グノーシア』公式サイトより

ゲームのTVアニメ化はそこまで珍しいものではないだろうが、「名古屋の4人が作った小規模なゲームがTVアニメ化する」と聞けば、驚くのも無理はないだろう。

インディーゲーム『グノーシア』のTVアニメ化

2024年12月1日、『グノーシア』のTVアニメ化が発表された。本作はゲーム開発集団「プチデポット」が制作した同名ゲームを原作としたもので、2025年より放送予定となっている。

昨今はインディーゲーム(独立した個人や小規模チームが制作するゲーム)が注目されており、本作もそのひとつといえる。インディーゲームといえば『天穂のサクナヒメ』もヒットしてTVアニメ化を果たしており、それに続く作品となるかもしれない。(関連記事

とはいえ、ゲームをTVアニメにするのは容易ではない。本作はどのような部分がファンに期待されているのか、そしてどのような課題があるのか。詳しく見ていこう。

SFと人狼ゲームをかけ合わせた新境地のゲーム

ゲーム版『グノーシア』
ゲーム版『グノーシア』。議論パートで話し合ったあと疑わしい人物に投票し、コールドスリープさせてグノーシアを排除するのが目的となる。画像は『グノーシア』公式サイトより

原作ゲームとなる『グノーシア』は、「人狼ゲーム」をベースにしたSFアドベンチャーである。

人狼ゲームは、集団のなかに紛れ込んだ「人狼」を議論で見つけ出すというゲーム。プレイヤー同士のコミュニケーションが楽しい遊びで、誰が犯人なのか疑心暗鬼になるという、現実ではおよそ味わえない特殊な交流が楽しめるわけだ。

ただし、人狼ゲームには課題も多い。たとえば序盤は推理しようがなく適当な言いがかりをつけるほかなかったり、遊ぶのにそれなりの人数も必要なうえ、勝ちに固執するプレイヤーがいると雰囲気が壊れてしまうことも。

ゲーム版『グノーシア』
グノーシアは嘘をつくこともある。誰が本当のことを言っており、誰が疑わしいのかコマンドで探りを入れていく。画像は『グノーシア』公式サイトより

そこで「ひとりで遊べる人狼ゲーム」として作られたのが『グノーシア』となる。相手はゲームの中にいる14人のキャラクターなので気軽にプレイできるし、世界がループするのでいろいろな状況で何度もプレイできるわけだ。

さらに、人狼ゲームが持つコミュニケーションの遊びを再現できているのも見事だ。プレイするたびに各キャラクターの秘密が明らかになり、それが大きなストーリーへとつながっていく。クリアするころには、各キャラクターに愛着が湧いているだろう。

『グノーシア』はゲームメディアで高く評価されたほか、「日本ゲーム大賞2020」ゲームデザイナーズ大賞の最終選考に残ったり、5周年記念に渋谷・名古屋PARCOでポップアップストアを期間限定で開くなど、大きな成果を残しているといえよう。

人狼ゲームを題材にしたインディーゲームはたくさんあるが、ひとり用のSFアドベンチャーという視点で捉えたのはかなり珍しい。プチデポットの4人だからこそ作れたゲームといえよう。

ゲームをアニメにするのは容易ではないが、意気込みはスゴそうだ

ゲーム版『グノーシア』
ループを繰り返しているとイベントが発生することもあり、宇宙船の搭乗員が急に増えることも。画像は『グノーシア』公式サイトより

このようにインディーゲームとして評価されている『グノーシア』だが、当然ながらゲームがアニメになるのは容易ではない。

本作はグノーシアを探す議論がベースになっているわけで、それをただアニメにしても、会話が複雑で映像もシンプルすぎるものになりそうだ。ましてや人狼ゲームの議論は論理的な推理とは限らず、好感や印象によるものですらある。