いつも退職理由の上位に上がるのは職場の人間関係です。心理学者のアドラーも「すべての悩みは人間関係の悩みである」というほど、人間関係は一番の悩みの種です。
クセの強い・めんどくさい人たちは、極端な考えや行動をするので、トラブルを引き起こします。だから、否が応でもあなたも巻き込まれることになるでしょう。まさに人間関係の災害。その災害を、うまくかわし、ストレスを溜めず、やり過ごす方法を知っているかどうかで、あなたを取り巻く環境は天国と地獄ほどの差が生まれます。今回は「いじわるな人への防災対策」についてご紹介します。
上司にあなたが「来週の金曜日お休みをいただきたいのですが」と言うと「はぁ~。(ため息)休みね。ハイ、わかりました……」とムッとされたり、営業で新規開拓を成功させたあと、同僚が集まるランチで「新しく何かを開拓するより、現状維持する方がよっぽど大変なのに、会社には評価されないよね」と遠回しにあなたを否定するのも「受動的攻撃行動(以下受動攻撃)」と呼ばれるものです。
「受動攻撃」とは自分が感じている怒りや不満などを直接口に出さず、間接的にあなたにぶつける行為です。
受動攻撃は、もとはアメリカの軍隊で、上官の命令に逆らえない部下が、わざと仕事を遅らせたりして、間接的に反抗心を表したことから生まれた言葉です。この攻撃は主に、無視・批判・妨害という3つの形で行われます。
目を合わせないようにしたり、聞こえないふりをするのは「無視」。「今日は冴えてるね! いつもピントがズレてるのに」とほめ言葉に辛辣な一言を付け加えるなどして、みんなの前で恥をかかせるのが「批判」。仕事になかなか手を付けず、「締め切りを忘れていた!」などと言って、あなたをわざと困らせるのが「妨害」です。
はっきり文句を言ってくる攻撃は、犬が吠えたり噛むようなわかりやすい攻撃。受動攻撃はハリネズミが丸まって背中のハリで防衛するように、相手が手出しできないように、壁をつくる自己防衛なんです。
この受動攻撃は、意識的または無意識的に行われます。実は、受動攻撃をする人は、子どもの頃に、支配的で怖い親に直接反抗できず、受動攻撃で反発していたり、親から受動攻撃を受けていた場合が多いんです。
その結果、親から学んだ歪んだコミュニケーションで、大人になっても他者に関わろうとしてトラブルになるんです。
受動攻撃をする人は、表に出せない怒りや不平不満を抱えています。仕事を頼まれて「はぁ~」とため息をつくのは「忙しいのに、この仕事も私がやるんですか?」とストレートに言えないから、遠回しに不満を表現しています。つまり、受動攻撃する人はあなたに「もっと、察して!」「配慮してほしい」と願いながら、言えなくて不満を溜め込んでしまった人なんです。
そこで、ネガティブな感情を吐き出させてあげると、そもそもいじわるな受動攻撃に走らなくなります。
たとえば、普段から「何かあれば、いつでも相談してくださいね」「先輩の苦労話を聞きたいです!」と声をかけ、愚痴や本音を話せる環境をつくるのが効果的です。