部下と上司の関係「ちょいゆる感」が実は重要な訳

会議室でミーティングをするビジネスパーソン
「メンバーが主体的に行動し、仕事のやりがい・達成感を得られるチーム」をつくるために、リーダーが意識したいこととは?(写真:EKAKI/PIXTA)
新年度に昇格・あるいは新たな配属でプロジェクトリーダーを任された人も多いのではないでしょうか。
 
自分に与えられたチャンスを生かし、メンバーとのコミュニケーションを良好にして、成果を出すためにはどうすれば良いのか、日々試行錯誤を繰り返している人もいると思います。
 
これまで述べ2万人超のリーダー育成を手掛けた人材コンサルタント、園部浩司さんの著書『変化をもたらすリーダーは何をしているのか?』(フォレスト出版)から一部抜粋・編集してお届けします。
 

“ちょっとゆるい”くらいがいい

「メンバーが主体的に行動し、仕事のやりがい・達成感を得られるチーム」とは、具体的にいうとどういうチームなのでしょうか。

明確なイメージを持っていただけるように、その条件を以下に挙げてみます。

◎ リーダーがメンバーに、上司・部下という立場の違いを意識させない
◎ 言葉は基本「ですます調」でていねいだが、フラットな関係で会話する
◎ チームの皆が、何の抵抗もなく発言できる。その発言を否定する人は誰もいない
◎ メンバー全員の発言を何らかの形で採用する
◎ 皆でアイデアを出すための企画会議をすると、物事が決まる。メンバーには「自分で決めた感」がある
◎ 企画会議を終えた後には、「今日の会議、楽しかった」と言う人が多い。メンバーの納得度も高い
 

これらからイメージしていただいた、「メンバーが主体的に行動し、仕事のやりがい・達成感を得られるチーム」は、どうすれば作れるのかをお話ししていきます。

大切なのはメンバーの「自己決定感」

「メンバーが主体的に行動し、仕事のやりがい・達成感を得られるチーム」の条件にある「自分で決めた感」は「自己決定感」です。メンバーにこれを感じてもらうには、1人ひとりの発言量が多くなければなりません。

そのためには「ここでなら、自分の考えをいくら発言しても大丈夫。否定されたり、あいつはダメだと言われたり、思われたりしない」という「安心感」があることが前提です。

このような安心感を持ってもらうためには、「つねに安心で安全である」という雰囲気を作る必要があります。

そこで目指すのが、フラットな関係作りです。

役職や社歴によって、目上・目下がはっきり分けられていると、目下の立場にいる人からは、目上の人に対して発言しにくくなります。

もちろん、組織ですから、役職や社歴の違いはそれぞれありますが、それによって発言をためらわなければならない環境にしないことです。

特にリーダーは、メンバーにとって目上の立場にいる人です。

ですからリーダーから率先して、「何を発言しても大丈夫、否定したりせず、メンバーの意見を尊重する」といったフラットな関係を作る必要があります。

フラットな関係作りとは、メンバーにとって、リーダーやほかのメンバーの顔色をうかがう緊張を強いることがない、いわば“ちょっとゆるい雰囲気”作りです。

この“ちょっとゆるい雰囲気”ができあがっているからこそ、メンバー1人ひとりが活発に発言できます。その結果、1人ひとりの発言量も増えていきます。

だからこそ、「自己決定感」を持てます。

そのためメンバーの納得感が高くなり、「仕事が楽しい」「自分からどんどん行動したい」「次もまた自分のアイデアを出したい」「次の企画会議が待ち遠しい」と感じることができます。

要は、メンバー1人ひとりのモチベーションが高まっている状態です。

こういう「場作り」「雰囲気作り」をすることも、リーダーの役割だと考えています。