辛酸:実際、男子校にはイケメンって多いんですか?
おおた:男子校だから多いということはないと思います。ちょっと補足しておくと、男子校出身者って、大学に入って二極化するんですよ。いつまでも女性と話せない奥手か、ガンガン行きすぎてしまう遊び人になるか。いずれにしても異性との適切な距離感を学ぶまでちょっと時間がかかる。
凹沢:男子校の陰キャが有名大に入った瞬間に弾けるってありますよね。
辛酸:ロンダリングチャラ男。
おおた:こういう話をしていると、「男子校出身でもみんな結婚できてるから大丈夫」という反論があるんですけど、それもちょっと危険な論理で。
凹沢:というと?
おおた:どんな奥手でも、好きなひとができればそのひとなりに頑張ってコミュニケーションとるし、不器用なりに愛情表現はできるんです。世の中広いから、誰かしらとは愛し合える。そういう意味では男子校出身でも大丈夫。
でも本当の問題は、恋愛対象以外の約40億人の女性と、性別を超えた爽やかな関係性がもてるかなんです。そこはジェンダー教育なり、女子校との共同プロジェクトみたいなことで経験値を積まないと、社会に出てから大きな問題の種になる。そこを男子校のアキレス腱と僕は呼んでいるんです。
辛酸:恋愛対象になるかならないかって点で相手を区別しちゃうこともありそうです。なんていうか、目の焦点が合わないんですよ……。
凹沢:主人公たちの問題点は、女子との付き合いって、恋愛しかないと思ってるところかもしれないですね。
辛酸:共学出身のひとは、男子に「○○くん!」みたいな感じで自然にフレンドリーに接していて、羨ましいなと思ったことがあります。
おおた:だから男子校と女子校は積極的にコラボして、探究の授業とかを共同で進めるみたいな機会を設けたほうがいい。
凹沢:実際にやっている学校がいくつかありますよね。
おおた:毎日ともに生活しているわけではないけれど、何かのプロジェクトを推進するためならいつでも性別を超えたコミュニケーションができる。そういうスキルを中高生のうちに身につけられるなら、アキレス腱はかなり補強できるはずです。