コミュニケーションには、「関係開始」「関係継続」「関係深耕」の3段階しかない。そしてすべての段階には、攻略法がある!
元お笑い芸人の中北朋宏氏は、お笑いを辞めた後、コンサル業界に転職。
そこで「笑いの技術」を活かしたコミュニケーションを使い3年でナンバーワンに。
その後、起業し「お笑い」と「コミュニケ-ション」を掛け合わせた、「コメディケーション」を260社、2万6000人以上に提供しています。
そんな中北氏が「コミュニケーションはこれ1冊で十分」と満を持してまとめたのが『おもしろい人が無意識にしている 神雑談力』です。
本当に必要な人間関係の深め方から、必要のない人間関係の断捨離までを網羅し、発売即重版になるなど話題を呼んでいます。
以下では、その中北氏が「上司の心理的安全性」について解説します。
あなたは「上司ガチャ」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。上司ガチャとは、カプセルトイ(ガチャガチャ)のように開けるまで何が出るかわからないということをたとえて作られた言葉です。
つまり、「部下は上司を選べない」という意味を含みます。
あるアンケート結果で「現在もしくは過去に正社員として勤めた企業において今まで上司ガチャに外れたと感じたことはありますか?」という質問に対して、約81%の方が「ある」と答えています。
残念なお知らせではありますが、この日本という国には外れの上司が恐ろしいほど多くいるというわけです。
ちなみに、「ある」と感じた上位3つの理由を紹介すると 「指示がわかりにくく一貫性がない」「高圧的な態度をとる」「すぐ怒るなど感情的になりやすい」 というような当たり前な理由です。
ただ、本当にこれは上司だけの問題なのでしょうか……。
私は、このような「上司ガチャ」についてのアンケートを見ると、「本当かな……」と疑ってしまいます。
「上司ガチャ」のアンケートは世の中にあふれていますが、上司の立場から見た「部下ガチャ」のアンケートはほぼ目にすることがないからです。
この疑いの背景には、コミュニケーションの根本は相互関係だからということがあります。
たまに職場でもパワハラやセクハラをする悪人のような人もいるので、すべてではないにしても、大抵の場合は相互に言い分があるものです。
私の職業柄、多くの企業様とお話しする中で、相互関係が崩れてきているという声を非常に多く耳にします。
もはや悲鳴に近い声です。
具体的に何かというと、マネージャーが部下を「叱れない」 ということです。
このような問題が起こっている背景として、心理的安全性の重要性が間違って広がったことが要因の一つでもあると考えています。
それは、心理的安全性という言葉は、部下のために使われることが多くなっており、さらには部下自身も心理的安全性を主張するため、「注意するとすぐ不機嫌になる」「言いすぎると辞める」などの事象が起こり、リスクを回避するためにも上司が「腫れ物に触る」かのように部下に接していることが多くなってきています。
マネージャーの置かれている環境は、「なんてマネージャーは、可哀想な生き物なんだろう」と思うほど過酷な状況です。