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誰にでも、生きていて嫌だったことやショックだったこと、傷ついたことがあるはずです。後からそれを思い出して、また落ち込むこともあるでしょう。
そして、「こんなこと考えていちゃダメだ。忘れよう」と思考を切り替えようとしてもなかなか頭から離れない……というところまで含めて、共感する人は多いのではないでしょうか。
どうしても人は「嫌なことは考えないようにしよう」と思ってしまいがちですが、これは逆効果であるという研究結果が出ています。
アメリカの心理学者であるダニエル・ウェグナーは「何かを考えないように努力すればするほど、かえってそのことが頭から離れなくなる」という現象を提唱し「皮肉過程理論」と名づけました。
その根拠となる実験が「シロクマ実験」です。
シロクマ実験ではA、B、Cの三つのグループにシロクマの映像を見せた後、それぞれのグループに次のような指示をしました。
グループAには「シロクマのことを覚えておくように」と言い、グループBには「シロクマのことを考えても考えなくてもいい」と言い、グループCには「シロクマのことだけは絶対に考えないように」と言いました。期間を置いて調査したところ、最も映像を鮮明に覚えていたのは、なんとグループCの人たちだったのです。
つまり「考えるな」と言われたほうが、より記憶に残りやすいということ。普段から自分に「考えちゃダメ」「忘れよう」と言い聞かせている人は、自分自身でマイナスな記憶の強化をしている可能性が高いのです。
例えば失恋後に「あの人のことは忘れよう」と考えてもなかなか忘れられなかったり、「禁煙のためにタバコのことは考えないようにしよう」と思っても逆に吸いたくなったりするのも皮肉過程理論といえます。
これらの例からもわかるように、嫌なことやショックなことは無理に忘れようとしなくても良いということです。
忘れようとしてはいけないのなら、どう気持ちを切り替えれば良いのかというと、「別のことを考える」、もしくは「別の行動に集中する」のです。
人間は基本的に二つ以上のことを同時に考えることはできません。だから嫌な気持ちが浮かび上がってきた場合、それを忘れようとするのではなく別のことを考えるようにしてみてください。
ただ、急に考えを切り替えるのは難しいですし、すでにお話ししたように、楽しいことを思い出すことがマイナスに働く可能性もあります。その場合は、簡単にできる作業などに着手するのが良いでしょう。部屋の掃除や片づけ、散歩、瞑想など何でも良いです。その作業だけに集中できることを探しましょう。
ただ、何かするにしても「ながら」は禁物です。基本的には一つの動作をしているときはそれに極力意識を向ける。例えば掃除をするにしてもちゃんとゴミは取れているだろうか、汚いところは残ってないか、などに着目しながら進めるようにしましょう。
人間は二つ以上のことを同時に考えられないため、掃除をしながら食事の献立を考えたりすると、どちらも中途半端で、別の思考が入り込む隙ができてしまいます。
悩んだり、落ち込んだりしたときは、そのときにできる作業に一点集中! これが気分の改善に役立ちます。
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みなさんも毎日仕事に、学校に、家事にと、忙しく過ごしているのだと思います。
仕事や学校が忙しいと、帰宅後や休日の時間に疲れを取るため、「今日は家で何もせずぼーっとしよう」と考える人も多いのではないでしょうか。