職業柄、年間3000名ほどの方とお会いしますが、企業で働く人の多くは、人間関係で悩んでいます。業界業種に関係なく、または経営者から新入社員まで役職に関係なく、必ず一つは人間関係の悩みに頭を抱えているのではないでしょうか。
例えば、管理職であれば昨今、心理的安全性という言葉が間違った解釈で広がり、部下に対して「叱る」ということができず、腫れ物に触るかのような接し方しかできなくなっています。新入社員であれば「配属された部署でうまくやっていけるのか」「上司や先輩と合わない」など、一度はあなたも感じたことがあるような悩みを抱えています。
このような人間関係の悩みを抱えた人が、やみくもにコミュニケーション関連の書籍を読んだり、人と接する機会を増やしたところで、一向に悩みは解決できません。
ただただ、表面的な会話に時間を費やし、自分の人生にとって必要のない人たちと関わる機会が増えるだけです。
例えば、あなたはこんな言葉で雑談を始めていませんか?
今日は暑いですね!毎日、毎日嫌になってしまいます!
これは、間を埋めるだけの表面的な雑談です。共感を誘う狙いがあるのかもしれませんが、その日やその場が暑いのは、多くの人にとって当たり前のことです。特別な共感を生み出すこともありませんし、ここから会話を弾ませるのも難しいです。
それでは、相手から信頼を得て会話を弾ませていくための工夫として、このような言葉を入れたらどうでしょう。
今日は暑いですね。午前中にお伺いした御社と同じ業界のお客様では……(続ける)
普通の雑談にも聞こえますが、相手の無意識に「この営業さんは、他の会社にも引っ張りダコなのかも」と間接的にすり込めます。
また相手と同じ業界の動向を伝えられれば、「この営業さんは色んな情報を持っていそう」「この営業さんからは学べそう」といったように信頼獲得につなげることもできます。
一流の人や話が面白い人は、このような「相手にどうなってほしいか」という意図を持った雑談を無意識のうちにしています。
私は意図を持ち、相手から「あなたと仕事がしたい」と無意識に思われる雑談のことを「神雑談」と呼んでいます。