ビジネスであらゆることを数値化することは可能ですが、必要以上になんでも数字にすればよいというものでもありません。
数字を増やすほど判断材料が増えて、相手が混乱してしまうこともあるからです。「数字で話す」目的は、相手を動かすことです。そのためには、必要な数字だけを話すことが大切です。
それが「いつ(時間)、いくら(お金と量)、何%(可能性)」なのです。
なぜなら、この3つを話せば、相手は「動く」か「動かない」を選べるからです。
自分がいつ、どれだけ行動すればよいのか、いくらの結果がどれだけの可能性で出るかわかります。
動くか動かないかを比べることができるので、相手が動くのです。
「時間」を数字に置きかえるだけで、上司のイライラが減り、あなたの残業が減り、時間のムダ遣いが減り、仕事の成果が上がります。
あなたは上司に相談したいとき、こんな感じで話しかけていませんか?
「すみません。○○さん、ちょっと時間ありますか?」
ここにあなたの仕事を邪魔する、ナンバー1フレーズが隠れています。そう、「ちょっと」です。
逆にあなたも、「ちょっと時間あるかな?」と言われたらどうでしょう?
5分くらいかな、と急ぎの仕事を中断したら、2時間だったことはありませんか?
あなたが、「数字で話す」第一歩は、時間を数字に置きかえることです。なぜなら、時間はビジネスにおいて一番大切なものだからです。しかも、地球上の人類全員が平等に持っているものです。
どんなにビジネスで成功している人も、1日を25時間にすることはできません。
そのため、数字の中でも、時間は特に「共通言語」にしやすいのです。
頭にイメージした時間に置きかえるだけでいいんです。
「すみません。○○さん、15分時間ありますか?」
逆に、あなたが「ちょっといい?」と言われたら、どうすればいいでしょう? シンプルです。このように、あなたが数字に置きかえて返事すればいいのです。
「はい。15分であれば大丈夫です」
もし、可能であれば、15分の理由を付け加えると、より説得力が増します。
「15時からお客さんとのオンライン面談があるので、15分であれば大丈夫です」
「なるはや(なるべく早く)」も「ちょっと」に次ぐ仕事を邪魔する言葉です。
忙しい相手を気づかい、締め切りをあいまいにしても、誰もハッピーになりません。
「△△さん、なるはやでこのレポートお願いします」を明日から言い直しましょう。
「△△さん、今週金曜の午前10時までに、このレポートお願いします」
もし相手を気づかうのであれば、次のように続けてはいかがでしょう?
「別の仕事で忙しいと思うので、締め切りが大変なら、いつだと大丈夫かな」
逆に、あなたが「なるはや」でお願いされたら。次のように答えて「なるはや」を数字にしてしまいましょう。
「○○さん、了解です。明日11時提出でよいでしょうか」
時間を数字に置きかえると、次の3つが減ります。
①上司のイライラ
あなたを気づかい「なるはや」と言った上司は、自分の上司やお客さまを待たせているのかもしれません。あなたのレポートがいつできるか気にしながら、催促が来ないように祈っているかもしれないのです。だから、完成の予定時間を数字で話すだけで、上司のイライラが減るのです。