Leminoも実は無料領域はFASTでやりたいと随分真剣に議論したそうだ。だが、日本のコンテンツ業界の状況を鑑みて具体的に検討するほど難しいとわかった。そして同じようにFASTを立ち上げようとして断念した某大手メディア事業者の話も最近聞いた。
つまり、成長性が高そうなFASTは日本では難しいのだ。それは著作権処理の問題だろう。TVerで配信されている番組も、著作権をクリアするために相当な作業をしている。FASTを具現化するには莫大な数の番組の、さらに莫大な作業を要する著作権処理が必要だ、ということなのだと思う。
なぜアメリカではFASTが成長しテレビ業界を再び押し上げているのに、日本ではそれが「難しい」のか。放送と通信がいまだに分かれているからだろう。欧米では通信を放送と同等にみなす制度改正が2000年代に行われた。日本でも2000年代後半にまったく同じ議論が展開された。だがなぜかこの国は「放送と通信は別」にする選択をした。
それがこれまでもテレビ局のさまざまな新たな取り組みの障害になってきたが、今はここにこそ再成長のチャンスありという選択肢を潰しているのかもしれない。日本の成長を妨げているのは、日本自身の選択の結果なのだ。