4つ目の「ネガティブなことだけ積み重ねていく人」は、「またか」「いつもそう」「何で自分ばかり」などと小さなストレスを積み重ね、大きなストレスがあるように感じやすいところがあります。逆にポジティブなことは別々でとらえて積み重ねないため、幸せを実感しづらいのも、このタイプの特徴。主に、自分を責めるタイプと、人にせいにするタイプに分かれますが、どちらも孤立しがちです。
5つ目の「以前から過重労働などで心身の緊張が続いていた人」は、たとえば昨年秋ごろから年度末の3月あたりまで過重労働が続いていた。また、それによって生活リズムが乱れている人。肉体的な疲労と精神的な緊張が続き、誰にも相談せず頑張り続けた人ほど、連休をきっかけに倦怠感を覚えるケースが少なくありません。
6つ目の「人や場の雰囲気の変化に敏感な人」は、他人に気をつかいすぎたり、表情や機嫌を感じ取ったりするタイプ。「上司が変わった」「同僚の異動」「新人の入社」「業績悪化などで職場の雰囲気が変わった」「プロジェクトのチームがギスギスしている」など、環境が変わっていないのに連休をきっかけに五月病の症状が表れるのはこのようなケースです。
これら6つのタイプに当てはまる人は、長期連休によって心身の緊張がゆるみ、倦怠感を覚えやすいなどの症状が出やすいところがありました。自分にあてはまるタイプはないかチェックしてみてください。
次に、五月病の相談者さんに多かった連休中の行動パターンをあげていきましょう。こちらのほうが明確な傾向があって、その最たるものが、生活の乱れと栄養の偏りの2つ。
実際、連休中の生活を尋ねると、「遅寝遅起き」「家からあまり出なかった」「食事はコンビニやデリバリー。または、あまり食べなかった」「休みなので暴飲暴食してしまった」「ずっと寝そべってテレビやネットを見ていた」「ゲームをやり込んだ」などの乱れが見られました。「連休だけの間」と思っていても、特に仕事や学校でストレスを抱えている人は、なかなか生活の乱れを元に戻せないところがあります。
それ以外の行動パターンでは、「帰省先や旅行先でほとんど何もしなかった」という人、「仕事のストレスを解消するために遊びまくったけど、終わってみたらそれほど楽しめなかった」という人、「帰省や旅行帰りの極端な混雑で、通勤ラッシュを思い出して行きたくなくなってしまった」という人、「連休中は家族サービスばかりで休めなくて疲れてしまった」という人などがいました。
職場や学校でのストレスに加えて、不規則な生活、栄養の偏りなどが自律神経の乱れにつながり、倦怠感や不安を覚えやすくなっていくのでしょう。多少なりとも身に覚えがある人は要注意です。
では五月病の症状を自覚したとき、どのように対処すればいいのでしょうか。そのアプローチは、“思考”と“行動”の2つから考えられます。
まず“思考”からのアプローチですが、前提として大切なのは、ストレスの捉え方。「ストレスは自分だけがあるものではなく、誰にでもあるのが普通で、どんな過ごし方をしてもある程度は感じるもの」「完全になくなることはないけど、『それがあると生きていけないほど嫌』までではないもの」という認識がベースになります。
小さなストレスを集めて、大きなものとして実感させないこと。逆に、幸せを感じられるものは集めて、大きな幸せとして実感すること。1つストレスを感じたら、1つ幸せを実感できることをして、その都度減らしておくこと。日ごろからこれらを心がけておくだけでストレスが軽くなるものです。
「頭の中を整理するのが苦手」という人は、自分の現状を書き出してみることがおすすめ。ストレスを感じるものと、幸せを実感するものを書き出していくことで、過不足なく自分の現状を把握できるので、「思っていたより悪くないかな」「こんなにいいこともあるから大丈夫かも」などと落ち着けるかもしれません。特にストレスに敏感なタイプの人は、「過剰に感じていないか」をチェックするために試してみてはいかがでしょうか。