次に“行動”からのアプローチですが、地味でも優先してほしいのは、規則正しい生活と睡眠の質を上げることの2つ。
休日前夜は少し早めに寝て、翌朝はふだんと同じ時刻に起き、ゆっくり朝食をとる。晴れていたら太陽の光を浴びて体を起こすために散歩するのもいいでしょうし、そこで昼食を買ったり食べたりもあり。朝・昼・夜の食事は暴飲暴食こそNGですが、素直に好きな料理を食べて、好きなお酒を飲めばいいのではないでしょうか。
日中の過ごし方はもちろん自由ですが、ベースは「自分が笑顔でいられるときを過ごす」こと。好きな場所へ行く、好きなコンテンツを見るなど、無理にストレス発散させようとするのではなく、心身をリラックスさせたいところです。
また、倦怠感があるときは「人と会わないでおこう」と思いがちですが、それなりに心を許せる人と会話することも大切。話すだけで気持ちが軽くなることもあれば、その流れで不安を打ち明けられることもあるでしょう。もし「心を許せる人がいない」という人は、似た境遇の人が集まるコミュニティや相談窓口などで話すことで不安の軽減が期待できます。
もう1つ体の倦怠感がある人におすすめなのは運動。特に「心の重さが体の重さにつながっている」という人は、運動で筋肉や関節をほぐし、血流をよくすることで心身をリラックスさせられると言われています。なかでも、「家で十分休んだのに体が重い」という人ほど運動が必要なのかもしれません。
ちなみに私の相談者さんに「運動は苦手でやりたくない」という男性がいました。その男性は動物が好きで「犬か猫を飼いたい」とも言っていたので、私は「犬を飼って散歩することも1つの方法」と提案してみたのです。その約半年後、犬を飼いはじめた男性は「毎日1時間程度の散歩がいい運動になり、朝起きるのが早くなって規則正しい生活になった」と報告してくれました。
そしてもう1つ大切なのが、睡眠の質を上げること。休日前夜こそ夜ふかしせず早めに寝る。昼食後に昼寝の時間を作る。また、日ごろから日が沈んだらデジタル機器の使用をやめて頭と体を休める。布団と枕を自分に合うものに買い替える。布団を干すか、布団乾燥機を積極的に使う。これら行うことで、「睡眠の質が高くなった」という実感を得ることも、自律神経の乱れを整え、倦怠感の軽減につながると言われています。
人間の一日は主に、睡眠、食事、勉強・仕事、対人、趣味(運動)という5つの要素で構成されているので、これをバランスよく行える人は自律神経が乱れにくく、倦怠感を覚えにくい状態を保てるでしょう。「リラックスできてストレスを感じづらい」という自分に合う生活のバランスを見つけたいところです。
私の相談者さんは軽めの適応障害で、徐々に改善していく人が多いのですが、「これらの方法も試そうと思えない」「何をしても楽しくない」「だるさを感じるのに眠れない」「遅刻や欠席・欠勤が増えた」「家事をせず、食事も適当で、部屋が散らかっている」。もしそんな状態が5月下旬になっても続いていたら、やはり医療機関で受診したほうがいいでしょう。
また、厚生労働省によるメンタルヘルスの情報サイトや相談窓口などもあるので、これらを頼ってみるのも1つの手です。とにかく1人で抱え込まないで、話を聞いてもらうことだけでも試してみてはいかがでしょうか。
さらに、ゴールデンウィークが明けたばかりの今、「そういう症状はない」という人も油断は禁物。このところ連休が明けてすぐではなく、5月下旬から6月にかけてストレスや倦怠感を自覚し、「やっぱりダメだった」と問い合わせをする相談者さんが増えています。
いずれにしても、自分は大丈夫なのか。自分の家族、友人、同僚は大丈夫なのか。連休明けからしばらくの間は気にかけておいたほうがいいかもしれません。