なぜか「評価される人」は話の中身が明らかに違う

あなた「Aさんはどっちがいいと思う?」

Aさん「うーん……1案目ですかね……」

あなた「それはどうして?」

Aさん「うーん……何となくきれいにまとまっていて……」

あなた「Bさんはどっちがいいと思う?」

Bさん「ええっと……僕も1案目かもしれないです……」

あなた「お、それはどうして?」

Bさん「いやー……ええっと……1案目のほうがシンプルで好きです……」

あなた「なるほど」

Cさん「私は2案目がいいと思います」

あなた「それはどうして?」

Cさん「 新商品のコンセプトは『忙しい主婦でも手間なく使える』ということです。2案目のほうが主婦向けの商品だとわかりやすいですし、『手間なく』の文字も目立っているので、コンセプトに合っていると思います」

さて、あなたはどの意見を採用しますか?

ここまでチームメンバーの意見を聞いて、あなたならどちらの案がよさそうだと感じましたか? もちろん、ポスターデザインに絶対的な正解はありません。しかしここで大切なのは、あなたの質問に対してメンバーがどんな答えをしたか、です。

鋭いあなたのことですからすでにお気づきだと思いますが、3人のメンバーのうちAさんとBさんは、言い方は違えど、実は両方とも「すっきりしているから好き」と、ほぼ同じ内容を言っています。しかし、Cさんだけは「何を言うか」、つまり、言っている「内容」そのものが違います。

そして、誤解を恐れずにいえば、AさんとBさんは話が「具体性」に欠けていて、説得力がありません。おそらく2人とも、頭の中に「モヤモヤ」としたイメージはありますが、そのほとんどをうまく言葉にはできていない、「言葉の解像度」が低い状態です。ですから、「何となくきれいにまとまっていて……」「シンプルで好き……」と、一言出てくるのがやっとなのです。しかも、「他の誰でも言えてしまいそうな内容」の話です。

自分の意見を頭の中で整理し、言語化できることが大切

一方で、Cさんは「言い方」云々ではなく、「話の内容」そのものが「具体的」です。自分の頭にある「モヤモヤ」を見事に「明確な言葉」にしていて、「言葉の解像度」が高い状態です。他のメンバーが言葉にできないことまで言語化していますから、必然的に「独自の視点」を持った意見になっていて、周囲が思わずハッとするような説得力があります。

あなたが3人のうちどの意見に共感したかはわかりませんが、少なくともCさんのような意見が言える人がチームにいると、リーダーとしては心強いのではないでしょうか。

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今回の架空会議では、あなたにはリーダーとして意見を聞く側に回っていただきました。しかし、あなたの普段の仕事において、今回の3人のように何かしらの意見を求められる機会はとても多いのではないかと思います。

そのときに、自分の中でモヤモヤと感じているものはあっても、それが何なのかはっきりと言葉にして意見できない。もしくは、周囲が思わずハッとするような説得力のある意見が言えない。

そんな悩みの根本的な原因は「どう言うか」よりも「何を言うか」が自分の頭の中で整理され、言語化されていない状態だからなのです。

そして、他人があなたを本当に評価するのは、意見を求められたあなたが「何を言うか」です。

あなたの意見に、「質問者が思いもつかなかった視点」があるか。「新しい気づき」があるか。それこそが、コミュニケーションを通してあなたの評価が上がる大きなポイントになるのです。